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極形式と回転・ド・モアブル

複素数 z=a+biz=a+bi は、横と縦の成分で表せます。もう1つの表し方は、原点からの長さと角度で表す方法です。

z=r(cosθ+isinθ)z=r(\cos\theta+i\sin\theta)

ここで r=zr=|z| は原点からの距離、θ\theta は正の実軸から測った角度です。この形を極形式と呼びます。

触ってみる — 積は回転と拡大の合成

2つの複素数を極形式で動かしてください。黄色い zwzw は、長さが掛け算され、角度が足し算されて決まります。

z=1.40(cos35+isin35)z=1.40(\cos 35^\circ+i\sin 35^\circ)w=1.20(cos55+isin55)w=1.20(\cos 55^\circ+i\sin 55^\circ) なら zw=0.00+1.68izw=0.00 + 1.68izw=1.68|zw|=1.68、偏角は 9090^\circ

式で書くと、積は次の形になります。

r1(cosα+isinα)r2(cosβ+isinβ)=r1r2{cos(α+β)+isin(α+β)}r_1(\cos\alpha+i\sin\alpha)\cdot r_2(\cos\beta+i\sin\beta) =r_1r_2\{\cos(\alpha+\beta)+i\sin(\alpha+\beta)\}

つまり、

zw=zw,arg(zw)=argz+argw|zw|=|z||w|,\qquad \arg(zw)=\arg z+\arg w

です。複素数の掛け算は「拡大縮小」と「回転」を一度に行う操作だと読めます。

何度も掛ける — ド・モアブルの定理

同じ複素数を何度も掛けると、長さは何度も掛けられ、角度は何度も足されます。

z=1.08(cos40+isin40)z=1.08(\cos 40^\circ+i\sin 40^\circ)。最後の点は z5=1.380.50iz^{5}=-1.38 - 0.50i、長さ 1.471.47、偏角 200200^\circ

これを式にしたものがド・モアブルの定理です。

{r(cosθ+isinθ)}n=rn(cosnθ+isinnθ)\{r(\cos\theta+i\sin\theta)\}^n =r^n(\cos n\theta+i\sin n\theta)

nn 回掛けるたびに θ\theta ずつ回るので、単位円上では正多角形の頂点をたどるような動きも現れます。フーリエ解析や複素指数関数では、この「回転を数式で扱える」性質が中心になります。

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

z=2(cos30+isin30)z=2(\cos30^\circ+i\sin30^\circ)w=3(cos40+isin40)w=3(\cos40^\circ+i\sin40^\circ) のとき、zwzw はどれですか?

確認 2 / 3

z=cos60+isin60z=\cos60^\circ+i\sin60^\circ のとき、z3z^3 の偏角は何度ですか?

確認 3 / 3

(cos45+isin45)4(\cos45^\circ+i\sin45^\circ)^4 の値はどれですか?

操作チャレンジ — 何回か回して戻る

赤い点で zz の角度を決め、回数を変えてください。何回か掛けたあとで 1+0i1+0i に戻る条件を、図と式の両方で確かめます。

目標: 黄の znz^n を星印 1+0i1+0i に戻す。現在 nθ=250n\theta=250^\circ360360^\circ の倍数まであと約 110110^\circ

執筆・監修: 中野竜之介北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

最終更新: 2026-07-05

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