テデトク

← コースに戻る

平面曲線を動かす — 速度・弧長・曲がり具合

これまで扱ってきた曲線は y=f(x)y=f(x) のグラフ、つまり「xx を決めると yy が1つ決まる」形でした。 ここからはパラメータ tt で位置が決まる曲線 r(t)=(x(t),y(t))r(t)=(x(t),y(t)) を主役にします。 tt を「時刻」だと思うと、r(t)r(t) は時刻 tt にその点がどこにいるかを表す軌道です。

触ってみる — 曲線の上を動く点

下の図で、曲線(円・放物線・楕円・対数らせん)を切り替えられます。スライダーで tt を動かすと、 その曲線上の点と、そこでの接線ベクトルT(赤)法線ベクトルN(緑)・**曲率円(紫の点線円)**が一緒に動きます。

x=1.6cost, y=1.6sintx=1.6\cos t,\ y=1.6\sin t。速さ v=1.60v=1.60、弧長 s=0.00s=0.00、曲率 κ=0.625\kappa=0.625、曲率半径 R=1.60R=1.60赤=接線ベクトルT 緑=法線ベクトルN 紫の点線円=曲率円(接触円)

数式で見る — 速度・速さ・弧長

r(t)=(x(t),y(t))r(t)=(x(t),y(t))tt で微分すると速度ベクトルになります。

r(t)=(x(t), y(t))r'(t) = (x'(t),\ y'(t))

速度ベクトルの大きさが速さです。

v=r(t)=x(t)2+y(t)2v = |r'(t)| = \sqrt{x'(t)^2+y'(t)^2}

速度ベクトルを大きさ1に正規化したものが単位接ベクトルTT(進行方向だけを表す矢印)です。

T=r(t)vT = \frac{r'(t)}{v}

TT を反時計回りに 90°90° 回転させたものが単位法線ベクトルNN(進行方向と直角で、曲線が曲がっていく側を向くベクトル)です。

曲線に沿って実際に進んだ距離(弧長)は、速さを時間で積分したものです。

s=x(t)2+y(t)2 dts = \int \sqrt{x'(t)^2+y'(t)^2}\ dt

図の下に表示されている ss は、そのスライダー範囲の始点から今の tt までの弧長です。

曲がりの強さ=曲率

「速さ」は動く速さを測る量でした。ここからは「どれだけ急に曲がっているか」を測る量——曲率κ\kappa——を考えます。

κ=xyyx(x2+y2)3/2\kappa = \frac{|x'y''-y'x''|}{(x'^2+y'^2)^{3/2}}

曲率が大きいほど急に曲がり、小さいほど緩やかです。曲率の逆数を曲率半径R=1/κR=1/\kappaといい、 「その点にもっとも近くぴったり沿う円(曲率円・接触円)」の半径になります。曲率円の中心は、 点 rr から法線 NN の向きに RR だけ進んだ場所(曲線が曲がっていく側)です。

どこで効くのか

試してみよう

理解チェック

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

単位接ベクトル TT の向きが表しているものは?

確認 2 / 3

r(t)=(2cost,2sint)r(t)=(2\cos t, 2\sin t)(半径2)の曲率 κ\kappa はいくつですか?

確認 3 / 3

放物線 y=x2y=x^2 で、頂点(t=0t=0)から離れるほど曲率円はどうなりますか?

📖

この章の定義・定理・公式をまとめて確認する

1平面曲線と曲率 のまとめページへ

執筆・監修: 中野竜之介北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

最終更新: 2026-07-05

主な参考文献: 梅原雅顕・山田光太郎『曲線と曲面』(裳華房) / 小林昭七『曲線と曲面の微分幾何』(裳華房) / do Carmo『Differential Geometry of Curves and Surfaces』(Dover)

内容の誤り・誤植を見つけたら こちらから報告できます。いただいた指摘は 更新履歴 に反映します。