複素関数を使う — 写像として読む
前回は複素数の極形式と、複素関数を色で見る方法を触りました。今回はそれを計算で扱います。
ド・モアブルの定理
積が「絶対値の積・偏角の和」になることから、同じ数を 回掛ければ次が導けます。
これがド・モアブルの定理です。 乗すると偏角がちょうど 倍になる——これは前回、 のドメインカラーリングで「色相が2周する」として目にした現象そのものです。
もう一度 を選んで、原点付近の小さな円をイメージしてください。角度 の点は で角度 の点に写ります。円を1周( が から )すれば、写った先は2周してしまう——だから色相が2周するのです。 は偏角の符号が反転する()ことも、関数を切り替えて確認してみましょう。
巻き数の読み方のまとめ
- 零点・極の位数 = その点を囲む小さな円を1周したときに色相が周回する回数
- : 原点は2位の零点(色相2周)
- : 原点は1位の極(色相1周、明るい)
- : が1位の零点、 が1位の極
理解チェック
を5乗すると、偏角は何度になるでしょうか?
答えを見る
ド・モアブルの定理より偏角は になります。絶対値は のままです。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
を4乗した数の偏角は何度ですか?
確認 2 / 3
のドメインカラーリングで、 と の偏角の関係はどれですか?
確認 3 / 3
ある点を囲む小さな円を1周すると、 のドメインカラーリングで色相は何周しますか?(点 の周り)
📖→
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執筆・監修: 中野竜之介(北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり)
最終更新: 2026-07-05
主な参考文献: Needham『Visual Complex Analysis』(Oxford) / Ahlfors『Complex Analysis』(McGraw-Hill) / 神保道夫『複素関数入門』(岩波)