方向場を使う — 初期値と平衡解
ウォームアップ — 第1章の振り返り
方向場の線分が水平(傾き 0)になる、ゼロでない平衡解の高さ y に合わせてください。
y = 1.50 で 傾き f = 0.525
前のレッスンで、初期値を1点決めれば解が1本に決まることを見ました。 ここでは平衡解の安定性を主役にします。同じ方程式でも、初期値がどの平衡解の「勢力圏」にあるかで運命が分かれます。
触ってみる — 二手に分かれる流れ
橙の点をドラッグして、いろいろな高さから出発させてください。 に吸い込まれる解と、下に落ちていく解があるはずです。
境目は不安定平衡 。ここより上の初期値はすべて へ、下の初期値は へ。 わずかな初期値の違いが、遠い未来を分ける——微分方程式で初期条件がこれほど効く理由です。
種明かし — 矢印の向きで安定性を読む
平衡解が安定か不安定かは、そのまわりの矢印を見れば分かります:
- 安定(吸い込み): 平衡解の上でも下でも、矢印が平衡解に向かう。 がこれ
- 不安定(反発): 矢印が平衡解から離れる。 がこれ
言い換えると、 かつ「 が増えると が減る」()なら安定です。 では なので安定、 なので不安定。 関数の増減で安定性が読める——高校数学コース第14章の の符号がそのまま効きます。
平衡解の分類
| 平衡解 | の符号 | 型 | まわりの解 |
|---|---|---|---|
| 安定 | 引き寄せられる | ||
| 不安定 | 離れていく |
第4章では、この「 の符号で安定性」が連立系では固有値の符号に化けます。 1次元の が多次元では固有値になる、と予告しておきます。
試してみよう
- 初期値を (不安定平衡のすぐ上)に置くと、しばらく 付近で粘ってから立ち上がります
- 初期値を (すぐ下)にすると、今度は落ちていきます。境目のシビアさを体感してください
理解チェック
平衡解 が「安定」とは、正確には何を意味しますか?
近くから出発した解が、時間とともに へ戻ってくることです。判定は の符号—— 負なら小さなずれが打ち消され(安定)、正ならずれが増幅されます(不安定)。1変数では 1つで決まります。
操作チャレンジ — 安定・不安定を見分ける3問
場 (平衡解は と )で、安定・不安定・成長域を判定してください。
場 f(y) = (y−1)(3−y)/1.5 で、安定な平衡解(上下から引き寄せる)の高さに合わせてください。
y = 4.00 で f = -2.000
執筆・監修: 中野竜之介(北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり)
最終更新: 2026-07-05