方向場を使う — 初期値と平衡解
ウォームアップ — 第1章の振り返り
方向場の線分が水平(傾き 0)になる、ゼロでない平衡解の高さ y に合わせてください。
で 傾き
前のレッスンで、初期値を1点決めれば解が1本に決まることを見ました。 ここでは平衡解の安定性を主役にします。同じ方程式でも、初期値がどの平衡解の「勢力圏」にあるかで運命が分かれます。
触ってみる — 二手に分かれる流れ
橙の点をドラッグして、いろいろな高さから出発させてください。 に吸い込まれる解と、下に落ちていく解があるはずです。
プローブ点は(-2.50, 1.00)。この点での傾き dy/dx は0.467で、解曲線はこの向きに伸びていきます。
橙の点をドラッグすると、その点を通る解曲線が伸びます。
境目は不安定平衡 。ここより上の初期値はすべて へ、下の初期値は へ。 わずかな初期値の違いが、遠い未来を分けます。境目がちょうど不安定平衡になっているという双安定の構造が、その理由です。
種明かし — 矢印の向きで安定性を読む
平衡解が安定か不安定かは、そのまわりの矢印を見れば分かります:
- 安定(吸い込み): 平衡解の上でも下でも、矢印が平衡解に向かう。 がこれ
- 不安定(反発): 矢印が平衡解から離れる。 がこれ
言い換えると、 かつ「 が増えると が減る」()なら安定です。 では なので安定、 なので不安定。 関数の増減で安定性が読めます。高校数学コース第14章の の符号がそのまま効きます。
平衡解の分類
| 平衡解 | の符号 | 型 | まわりの解 |
|---|---|---|---|
| 安定 | 引き寄せられる | ||
| 不安定 | 離れていく |
第4章では、この「 の符号で安定性」が連立系では固有値の実部の符号に化けます (実部がちょうど になる非双曲型のケースは、この符号だけでは決まらず追加の判定が必要です)。 1次元の が多次元では固有値になる、と予告しておきます。
試してみよう
- 初期値を (不安定平衡のすぐ上)に置くと、しばらく 付近で粘ってから立ち上がります
- 初期値を (すぐ下)にすると、今度は落ちていきます。境目のシビアさを体感してください
理解チェック
平衡解 が「安定」とは、正確には何を意味しますか?
近くから出発した解が、時間とともに へ戻ってくることです。判定は の符号で決まり、 負なら小さなずれが打ち消され(安定)、正ならずれが増幅されます(不安定)。ただし のときは この1階の情報だけでは決まりません(例: は安定、 は不安定、 は半安定(片側の解は引き寄せ、反対側の解は遠ざける状態)です)。
操作チャレンジ — 安定・不安定を見分ける3問
場 (平衡解は と )で、安定・不安定・成長域を判定してください。
場 で、安定な平衡解(上下から引き寄せる)の高さに合わせてください。
で
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
平衡解 が「安定」と判定できるのは、f の傾きがどうなっているときですか。
確認 2 / 3
の平衡解 での はいくつですか。 で計算してください。
確認 3 / 3
チャレンジの場 の平衡解 での はいくつですか。 より です。
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執筆: 石井馨 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 北町晃洋
最終更新: 2026-07-05