波を足すと形が生まれる
「サイン・コサインは何の役に立つのか」。フーリエ解析はこの問いに答えます。 広いクラスの周期的な形は、単純な波の足し算で作れる(どこまで「すべて」と言えるかは、収束の意味を含めて第3章で詰めます)。
高校数学コース第3章で、単位円を回すと 波が生まれるのを指で確かめました。 まずその図を思い出すところから始めます。
現在の角度は 1.05 ラジアン、60.00 度です。単位円上の座標 (cos, sin) は (0.50, 0.87) です。現在表示している正弦の値は 0.87 です。
赤い点を回すと、高さ( 座標)が右へ流れて波になる。周波数の違う波は、回す速さの違う点から生まれます。
触ってみる — 2つの波を重ねる
ここからが新しい話です。周波数の違う2つの 波を足すと、何が起きるでしょうか。
青い波(基本波)と橙の波(何倍かの速さの波)を足すと、藍色の合成波になります。 もう単純な の形ではありません。山にこぶができたり、平らになったりします。 足す波の周波数と量を変えるだけで、いろいろな形が現れます。
いま何が起きたのか
- 波を「重ねる」とは、各点で高さを足すこと。ベクトルの足し算と同じで、成分ごとに加える
- 足す波の周波数(何倍の速さか)と振幅(どれだけの量か)が、合成波の形を決める(ここでは位相をそろえて だけを足しています。一般には位相=波の横ずれも第3の要素で、第2章の複素係数がこれをまとめて扱います)
- 逆に問いを立てられます。「では、目標の形を先に決めたら、どんな波を何倍ずつ足せばいい?」
この逆問題こそフーリエ解析の本題です。第2章で「係数=どれだけ含まれているか」を取り出す方法を作ります。
試してみよう
- 第2波の周波数を上げると、合成波の「さざなみ」が細かくなる
- 第2波の振幅を にすると、当然もとの 波に戻る
- 2倍音(基本の波の 倍の周波数を持つ波。整数倍の周波数の波を倍音と呼びます)を強くすると、偶数倍音の働きで山と谷が左右非対称になります
理解チェック
周波数の同じ 波を2本足すと、形はどうなるでしょうか。
答えを見る
同じ周波数の波を足しても、振幅と位相が変わるだけで周波数は変わりません( のまま)。 新しい形が生まれるのは、違う周波数を混ぜたときだけ。だからフーリエ解析は「周波数の違う波」を素材に選びます。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
周波数の違う2つの波を足したとき、合成波の形を決めるのは何と何ですか?
確認 2 / 3
周波数が同じ波を2本足すと、形はどうなりますか?
確認 3 / 3
波を「重ねる(合成する)」とは、具体的にどんな操作ですか?
この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
第1章 波の重ね合わせ — sin波を足すと形が生まれる のまとめページへ
執筆: 石井馨 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 北町晃洋
最終更新: 2026-07-05