微積分は「関数を調べる学問」です。ところがその主役の関数を、
多くの人は「y=f(x) という式」としてしか見たことがありません。
ここから始まる微積パートでは関数を入力を放り込むと出力が出てくる機械として扱い、
しかもグラフごと手で動かせる対象にします。まず動かしてみましょう。
触ってみる
薄い線が元の y=sinx です。スライダー a と b を動かして、
青い曲線がどう変形するかを観察してください。
y=sin(1.00x)+0.00(薄い線 = 元の sinx)
種明かし
- a(中に掛ける): sin(ax) にすると、グラフが横に伸縮します。a=2 なら波が2倍細かく(圧縮)、a を負にすると左右が反転
- b(外に足す): sin(ax)+b にすると、グラフが縦に平行移動します
規則はひとつだけ:
式の「中」への操作は横に、「外」への操作は縦に効く
f(x−3) が右に3ずれる(左ではなく!)のも同じ理屈で、
「中の x が3だけ損をするので、追いつくために横軸が3遅れる」からです。
試してみよう
- a をゆっくり 0 に近づけてください。波がどこまでも間延びして、a=0 で水平線に潰れます
- a=−1 と a=1 を見比べてください。sin(−x)=−sinx(奇関数)が目で見えます
理解チェック
y=sin(2x)+1 のグラフは、y=sinx をどう変形したものでしょうか?
答えを見る
横に 21 倍圧縮(波が2倍細かい)してから、上に 1 平行移動です。
上のスライダーで a=2,b=1 にして確かめてください。
もう1問: f(x)=x2、g(x)=x+1 のとき、f(g(x)) と g(f(x)) は同じでしょうか?
答えを見る
違います。f(g(x))=(x+1)2、g(f(x))=x2+1。合成は順序で結果が変わります。「どちらの機械に先に入れるか」で出力が変わります。
合成は「内側から順に計算する」と言えますが、値が次の入力に渡される流れとして見るともっとはっきりします。
下の図では x を動かして、g(x) がそのまま f の入力になる様子を追ってください。
1段目
g(x)=x+1=22段目
f(g(x))=(2)2=4 x=1 を先に g へ入れると g(x)=2、それを f へ入れて f(g(x))=4 になります。つまり (f∘g)(x)=(x+1)2 です。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
y=sin(2x) は y=sinx をどう変形したものですか?
確認 2 / 3
y=f(x−3) は y=f(x) のグラフをどちらへ動かしたものですか?
確認 3 / 3
f(x)=x2、g(x)=x+1 のとき、f(g(2)) の値はいくつですか?
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05
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