ウォームアップ — 第15章の振り返り
面積関数の増える速さ S′(x) が、ちょうど 1.5(橙の破線の高さ)になる x を探してください。
S′(x)=f(x)=0.563
技法を手に入れたので、積分の適用範囲を広げます。
有限の区間から無限の区間へ、面積から体積へ。
触ってみる — 無限に伸ばしても有限?
y=x−p の x=1 から右の面積を考えます。右端 R をどんどん伸ばし、
さらに p(減衰の速さ)を変えて、面積が頭打ちになる場合と無限に育つ場合を見つけてください。
種明かし — 広義積分
∫1∞xpdx=R→∞lim∫1Rxpdx={p−11∞(p>1 収束)(p≤1 発散)
境目は p=1。x21 は無限に伸ばしても面積 1 に収まり、
x1 はどこまでも育ちます。減衰の速さが収束・発散を決めます。
これは大学微積コース(級数の章)の ∑np1 の収束・発散と同じ現象です(積分判定法)。
統計コースで出会う正規分布の釣鐘 e−x2 はどんなべき関数よりも速く減衰し、
∫−∞∞e−x2dx=π と有限。この計算は大学微積コース・重積分の章のクライマックスでやります。
面積から体積へ
区間を細かく刻む発想はそのまま3次元に伸びます。曲線 y=f(x) を x 軸まわりに回すと、
位置 x の薄い輪切りは半径 f(x) の円盤(面積 πf(x)2)。積み上げれば:
V=∫abπf(x)2dx
例: y=x(0≤x≤4)を回すと V=π∫04xdx=8π。
「刻む→足す→極限」のパターンは面積でも体積でも曲線の長さでも同じです。
試してみよう
- 上の図で p=1.01 にして R を最大へ。収束はする(緑)けれど極限値 0.011=100 は遥か先です。収束の「遅さ」も体感できます
- p=0.5 で面積の育ち方を見てください。R のペースで無限に育ちます
操作チャレンジ — 図で解く2問
u=x2 の置換で面積が sin(b2) になることを使い、面積をちょうど 0.90 にしてください。
∫0b2xcos(x2)dx=sin(b2)=0.2474
追加演習 — もう2問
仕上げの2問です。前の問題より少しだけ手応えがあります。
∫012x(x2+1)3dx の値をスライダーで当ててください(置換 u=x2+1 で暗算できます)。
∫012x(x2+1)3dx=1.00 と予想
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
広義積分 ∫1∞x2dx はいくつに収束しますか?
確認 2 / 3
∫1∞dx/xp が収束するか発散するかの境目は p= いくつですか?
確認 3 / 3
y=x(0≤x≤4)を x 軸まわりに回した立体の体積は V=(係数)×π になります。この係数はいくつですか?
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05
内容の誤り・誤植を見つけたら こちらから報告できます。いただいた指摘は 更新履歴 に反映します。