ベクトルとは何か
ベクトルには2つの顔があります。物理学者にとっては空間に浮かぶ矢印、
プログラマーにとっては数の組 [2, 1]。線形代数の面白さは、この2つが
完全に同じものだと分かる瞬間から始まります。まず矢印を動かして、数がどう追いかけてくるか見てみましょう。
触ってみる — 足し算は「継ぎ足し」
赤い点と青い点をドラッグしてください。黄色いベクトルが2つの和 です。 点線に注目すると、和は「 の先に を継ぎ足した到達点」—— つまり平行四辺形の対角線になっています。
成分で見れば、和はただの座標ごとの足し算です:
矢印の「継ぎ足し」と数の「成分ごとの和」が常に一致する——これがベクトルの第一の約束です。
スカラー倍 — 伸ばす・縮める・裏返す
もう1つの基本演算はスカラー倍 です。スライダーで を動かしてみてください。 を負にした瞬間、矢印が反対向きに裏返るのがポイントです。
「足す」と「スカラー倍する」——実は線形代数のすべての操作は、この2つの組み合わせでできています。 次章で登場する線形結合はまさにその組み合わせです。
内積 — どれだけ同じ方向を向いているか
2つのベクトルの「相性」を測る道具が内積 です。 赤い点を青いベクトルの周りでぐるっと回してみてください。 黄色い「影」(正射影)が伸び縮みし、直角になった瞬間に内積が 0 になります。
- 同じ向き → 内積は正(影が長い)
- 直交 → 内積はちょうど 0(影が消える)
- 逆向き → 内積は負(影が逆側に出る)
この「影の長さ」という見方は、第8章の射影・最小二乗法(機械学習の回帰の心臓部)でそのまま主役になります。
試してみよう
- 最初の図で と を同じ向きにすると、和はどうなる?(矢印が一直線に継ぎ足される)
- スカラー倍で にすると?(どんなベクトルも原点=零ベクトルに)
- 内積の図で の領域はどこか、影の向きで確かめよう
理解チェック
の長さはいくつでしょうか?また と直交するベクトルを1つ挙げてください。
答えを見る
長さは 。直交するベクトルは内積が 0 になればよいので、 例えば ()。成分を入れ替えて片方の符号を反転する—— 平面ではこれが常に直交ベクトルを作る手品です。内積の図で再現してみてください。
操作チャレンジ — 図で解く5問
読んで分かったら、次は手で証明しましょう。5問すべて、図の操作だけで解けます。 条件を満たした状態を少しキープすると正解になります。
赤い矢印を「右に2、上に1」、青い矢印を「右に1、上に1」に動かして、オレンジの合成矢印を星印に重ねてください。
a = (1.00, 0.00) b = (0.00, 1.00) a + b = (1.00, 1.00)