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線形代数の目次

線形代数 / 第1章 · 2つ目のレッスン

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ベクトルを使う — 内積と成分計算

前回はベクトルを「動かして」理解しました。今回は同じものを計算で扱えるようにします。まずは手が覚えているか、1問だけ振り返りから。

ウォームアップ — 第1章の振り返り

問1 / 1
問1・現在

補助線を見ずに、2本の矢印の和で星印 (−1,3)(-1, 3) を作ってください。どちらの矢印も短すぎないようにしてください。

a+b=(1.00,1.00)a + b = (1.00, 1.00)

内積の2つの顔

前回の最後に触った「影」の図をもう一度出します。第1回で触ったこの図が、今日の主役です。

ベクトル a の成分
ベクトル b の成分

ベクトル a は (1.5, 2.0)、ベクトル b は (3.0, 0.5)、内積は 5.50、なす角は 44 度です。a の b 方向への正射影は (1.78, 0.30)、影の長さは 1.81 です。

a⋅b=5.50a \cdot b = 5.50 θ=44\theta = 44° 影の長さ = 1.811.81

内積には2つの定義がありました。図で見た幾何の顔:

a⃗⋅b⃗=∣a⃗∣ ∣b⃗∣cos⁡θ\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}|\,|\vec{b}| \cos\theta

そして電卓で叩ける成分の顔:

a⃗⋅b⃗=a1b1+a2b2\vec{a} \cdot \vec{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2

この2つが常に一致する、というのが内積の魔法です。おかげで「角度」というアナログな量を、掛けて足すだけの計算で取り出せます。

長さと距離も内積から

自分自身との内積は a⃗⋅a⃗=a12+a22\vec{a} \cdot \vec{a} = a_1^2 + a_2^2。これはピタゴラスの定理と同じ式なので、

∣a⃗∣=a⃗⋅a⃗|\vec{a}| = \sqrt{\vec{a} \cdot \vec{a}}

がノルム(長さ)になります。2点間の距離は差ベクトルの長さ ∣a⃗−b⃗∣|\vec{a} - \vec{b}|。つまり「長さ・距離・角度」という幾何の道具一式が、内積ひとつから全部出てきます。

よく使う3つの計算

  • 直交判定: a⃗⋅b⃗=0\vec{a} \cdot \vec{b} = 0 なら直交。cos⁡90°=0\cos 90° = 0 だから
  • 正規化: a⃗/∣a⃗∣\vec{a} / |\vec{a}| で「向きはそのまま長さ1」の単位ベクトルを作る
  • なす角: cos⁡θ=a⃗⋅b⃗∣a⃗∣∣b⃗∣\cos\theta = \dfrac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}。機械学習で文章の類似度を測るコサイン類似度はこの式そのものです

理解チェック

a⃗=(1,2)\vec{a} = (1, 2)、b⃗=(3,−1)\vec{b} = (3, -1) のなす角のコサインはいくつでしょうか?

答えを見る

内積は 1⋅3+2⋅(−1)=11 \cdot 3 + 2 \cdot (-1) = 1。長さは ∣a⃗∣=5|\vec{a}| = \sqrt{5}、∣b⃗∣=10|\vec{b}| = \sqrt{10}。よって cos⁡θ=150≈0.14\cos\theta = \dfrac{1}{\sqrt{50}} \approx 0.14。ほぼ直角に近い、少しだけ同じ向きの2本です。上の影の図で (1,2)(1,2) と (3,−1)(3,-1) を再現すると、影がわずかに正の側に出るのが確認できます。

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

a=(1,2)a = (1,2)、b=(3,−1)b = (3,-1) の内積 a⋅ba\cdot b はいくつですか?(成分の計算)

確認 2 / 3

同じ a=(1,2)a = (1,2)、b=(3,−1)b = (3,-1) のなす角のコサイン cos⁡θ\cos\theta はおよそいくつですか?(小数第2位まで)

確認 3 / 3

ベクトルの「正規化」とは、どんな操作ですか?

操作チャレンジ — 図で解く5問

計算で分かったことを、最後は手で証明します。

問1 / 5
問1・現在問2問3問4問5

青い矢印を、赤いベクトル u=(2,1)u = (2, 1) と直交する向きに置いてください。長さは1以上で。

x⋅u=3.00x\cdot u = 3.00(目標 00)

この章の定義・定理・公式をまとめて確認する

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執筆: 中野竜之介 / 監修:

中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

数学レビュー協力: 木村敏樹・田邊真郷

最終更新: 2026-07-05

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