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線形結合・張る空間・基底

前章の2つの演算——足し算とスカラー倍——を組み合わせると、 c1a+c2bc_1\vec{a} + c_2\vec{b} という式が作れます。これが線形結合です。 問題はこうです: 係数 c1,c2c_1, c_2 を自由に選べるとき、どこまで届くのか?

触ってみる

スライダーで係数 c1c_1(赤)と c2c_2(青)を動かすと、黄色い点(到達点)が移動します。 届く点の集合——薄緑の領域——が、2本のベクトルの張る空間(スパン、span)です。

そして本題はここから。赤い点と青い点をドラッグして、2本のベクトルを平行にしてみてください。

c₁ = 1.5
c₂ = 1.0
到達点 = (2.0, 2.5)。基底 {a, b} での座標は (1.5, 1.0)

いま何が起きていたのか

普段、2本のベクトルが張る空間は平面全体です。どんな点も c1a+c2bc_1\vec{a} + c_2\vec{b} の形で書けます。ところが2本が平行になった瞬間、 届く先は1本の直線に潰れますb\vec{b}a\vec{a} のスカラー倍でしかないため、 「新しい方向」を何も追加していないからです。

この違いに名前がついています:

基底 — 空間の「ものさし」

1次独立な2本 {a,b}\{\vec{a}, \vec{b}\} は平面の基底になれます。 基底とは空間の全部の点に住所をつける「ものさし」です。 実際、上の図のキャプションを見てください。黄色い点の位置は

p=c1a+c2b\vec{p} = c_1\vec{a} + c_2\vec{b}

なので、(c1,c2)(c_1, c_2) という数の組がそのまま基底 {a,b}\{\vec{a}, \vec{b}\} での座標です。 普段使っている (x,y)(x, y) 座標も、実は標準基底 ı^=(1,0),ȷ^=(0,1)\hat{\imath} = (1,0), \hat{\jmath} = (0,1) を ものさしにした線形結合 xı^+yȷ^x\hat{\imath} + y\hat{\jmath} にすぎません。 同じ点でも、ものさしを替えれば座標は変わる——この視点が次章「行列 = 線形変換」の鍵になります。

試してみよう

理解チェック

a=(1,2)\vec{a} = (1, 2)b=(2,4)\vec{b} = (2, 4) が張る空間はどんな集合でしょうか?

答えを見る

b=2a\vec{b} = 2\vec{a} なので1次従属。張る空間は平面ではなく、 原点と (1,2)(1, 2) を通る1本の直線です。図で a\vec{a}(1,2)(1,2)b\vec{b}(2,4)(2,4) 付近に 置くと「潰れた!」の警告が出ることを確かめてください。

操作チャレンジ — 図で解く5問

読んで分かったら、次は手で証明しましょう。5問すべて、図の操作だけで解けます。 条件を満たした状態を少しキープすると正解になります。

1 / 5

係数スライダーを動かして、ベクトル v の3倍で星印に届かせてください。

c₁ = 1.00