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基底を使う — 座標の読み替え

前回、基底は「空間を測るものさし」だと分かりました。今回はそのものさしで 実際に測る、つまり座標を読み書きする練習です。まずは振り返りから。

ウォームアップ — 第1章の振り返り

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問1・現在

青い矢印を動かして、横軸に落ちる影だけを「22目盛り」に合わせてください。先端は軸の上になくてもかまいません。

=(1.00,0)= (1.00, 0)

座標とは「レシピ」である

前回の「張る空間」の図をもう一度。スライダーの (c1,c2)(c_1, c_2) は、実は座標そのものです。

基底ベクトル a の成分
基底ベクトル b の成分
c1=1.5c_1 = 1.5
c2=1.0c_2 = 1.0

基底ベクトル a は (2.0, 1.0)、基底ベクトル b は (-1.0, 1.0)、係数 c1 は 1.5、c2 は 1.0、到達点 c1a+c2b は (2.0, 2.5) です。a と b は独立で、張る空間は平面全体です。

到達点 =(2.0,2.5)= (2.0, 2.5)。基底 {a,b}\{a, b\} での座標は (1.5,1.0)(1.5, 1.0)

p\vec{p} が基底 {b1,b2}\{\vec{b}_1, \vec{b}_2\}

p=c1b1+c2b2\vec{p} = c_1 \vec{b}_1 + c_2 \vec{b}_2

と書けるとき、(c1,c2)(c_1, c_2)この基底での座標と呼びます。 座標とは「基底ベクトルを何杯ずつ混ぜるか」のレシピなのです。

座標を求める = 連立方程式

では逆に、点 (3,3)(3, 3) を基底 b1=(2,1)\vec{b}_1 = (2,1)b2=(1,1)\vec{b}_2 = (-1,1) で測ると? 成分ごとに書き下すと:

{2c1c2=3c1+c2=3\begin{cases} 2c_1 - c_2 = 3 \\ c_1 + c_2 = 3 \end{cases}

足すと 3c1=63c_1 = 6c1=2c_1 = 2、よって c2=1c_2 = 1。 つまり標準座標 (3,3)(3,3) の点は、この基底では座標 (2,1)(2, 1) に見えます。 同じ点・違う住所。座標の読み替えが連立方程式になる、 この事実は第4章「連立方程式」への入口でもあります。

標準基底は何が特別か

普段の座標 (x,y)(x, y) は、基底 ı^=(1,0)\hat{\imath} = (1,0)ȷ^=(0,1)\hat{\jmath} = (0,1) でのレシピです。 特別なのは「読みやすい」ことだけで、数学的にはただの基底のひとつ。 データ解析では、データに合わせてものさしを選び直すことがむしろ主役になります (第11章のPCAは「データが一番ばらつく方向」を新しい基底に選ぶ話です)。

理解チェック

基底 b1=(1,0)\vec{b}_1 = (1, 0)b2=(1,1)\vec{b}_2 = (1, 1) のとき、標準座標 (3,2)(3, 2) の点の基底座標は?

答えを見る

c1(1,0)+c2(1,1)=(3,2)c_1 (1,0) + c_2 (1,1) = (3,2) より c2=2c_2 = 2c1+c2=3c_1 + c_2 = 3 なので c1=1c_1 = 1。 基底座標は (1,2)(1, 2) です。y成分を b2\vec{b}_2 だけで賄い、残りの横幅を b1\vec{b}_1 で埋めます。 レシピとして読むと自然に見えてきます。

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

(3,3)(3,3) を基底 b1=(2,1)\vec{b}_1 = (2,1)b2=(1,1)\vec{b}_2 = (-1,1) で測ります。b1\vec{b}_1 の係数 c1c_1 はいくつですか?

確認 2 / 3

標準座標 (3,2)(3,2) の点を、基底 b1=(1,0)\vec{b}_1 = (1,0)b2=(1,1)\vec{b}_2 = (1,1) で測ったときの c1c_1 はいくつですか?

確認 3 / 3

ある点の「基底での座標を求める」ことは、計算としては何をすることですか?

操作チャレンジ — 図で解く5問

座標の読み・書き・そして「ものさしの設計」まで、手でやってみましょう。

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問1・現在問2問3問4問5

基底 b1=(2,1)b_1 = (2,1)b2=(1,1)b_2 = (-1,1) のもとで、星印の点を座標 (c1,c2)=(2,1)(c_1, c_2) = (2, 1) で表せることをスライダーで確かめてください。

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執筆: 中野竜之介 / 監修:

中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

数学レビュー協力: 木村敏樹

最終更新: 2026-07-05

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