線形代数 / 第2章 · 2つ目のレッスン
無料レッスン基底を使う — 座標の読み替え
前回、基底は「空間を測るものさし」だと分かりました。今回はそのものさしで実際に測る、つまり座標を読み書きする練習です。まずは振り返りから。
ウォームアップ — 第1章の振り返り
青い矢印を動かして、横軸に落ちる影だけを「目盛り」に合わせてください。先端は軸の上になくてもかまいません。
影
座標とは「レシピ」である
前回の「張る空間」の図をもう一度。スライダーの は、実は座標そのものです。
基底ベクトル a は (2.0, 1.0)、基底ベクトル b は (-1.0, 1.0)、係数 c1 は 1.5、c2 は 1.0、到達点 c1a+c2b は (2.0, 2.5) です。a と b は独立で、張る空間は平面全体です。
点 が基底 で
と書けるとき、 をこの基底での座標と呼びます。座標とは「基底ベクトルを何杯ずつ混ぜるか」のレシピなのです。
座標を求める = 連立方程式
では逆に、点 を基底 、 で測ると?成分ごとに書き下すと:
足すと で 、よって 。つまり標準座標 の点は、この基底では座標 に見えます。同じ点・違う住所。座標の読み替えが連立方程式になる、この事実は第4章「連立方程式」への入口でもあります。
標準基底は何が特別か
普段の座標 は、基底 、 でのレシピです。特別なのは「読みやすい」ことだけで、数学的にはただの基底のひとつ。データ解析では、データに合わせてものさしを選び直すことがむしろ主役になります(第11章のPCAは「データが一番ばらつく方向」を新しい基底に選ぶ話です)。
理解チェック
基底 、 のとき、標準座標 の点の基底座標は?
答えを見る
より 、 なので 。基底座標は です。y成分を だけで賄い、残りの横幅を で埋めます。レシピとして読むと自然に見えてきます。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
点 を基底 、 で測ります。 の係数 はいくつですか?
確認 2 / 3
標準座標 の点を、基底 、 で測ったときの はいくつですか?
確認 3 / 3
ある点の「基底での座標を求める」ことは、計算としては何をすることですか?
操作チャレンジ — 図で解く5問
座標の読み・書き・そして「ものさしの設計」まで、手でやってみましょう。
基底 、 のもとで、星印の点を座標 で表せることをスライダーで確かめてください。
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執筆: 中野竜之介 / 監修:
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 木村敏樹・田邊真郷
最終更新: 2026-07-05