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前のレッスンで見つけた性質(対辺・対角・対角線)を、対角線で 2つの三角形に分けて、合同から証明します。
使うのは「2直線が平行なら錯角が等しい」(第5章)と、この章までの合同条件です。
対辺・対角が等しいことの証明
平行四辺形 ABCD(AB∥DC、AD∥BC)に対角線 BD を引きます。
△ABD と △CDB において
- ∠ABD=∠CDB …錯角(AB∥DC、BDが横切る)
- ∠ADB=∠CBD …錯角(AD∥BC、BDが横切る)
- BD=DB …共通な辺
- 1辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、△ABD≡△CDB(ASA)
- 対応する辺が等しいので、AB=CD、AD=CB(対辺がそれぞれ等しい)
- 対応する角が等しいので、∠A=∠C
∠B と ∠D についても、∠B=∠ABD+∠DBC、∠D=∠CDB+∠BDA で、∠ABD=∠CDB、∠DBC=∠BDA(ともにステップ1・2で示した錯角)なので、∠B=∠D。
これで対角がそれぞれ等しいことも示せました。
対角線がそれぞれの中点で交わることの証明
対角線 AC,BD の交点を O とします。△AOB と △COD において
- ∠OAB=∠OCD …錯角(AB∥DC、ACが横切る)
- AB=CD …前の証明の結論
- ∠OBA=∠ODC …錯角(AB∥DC、BDが横切る。前の証明の ∠ABD=∠CDB と同じ)
- 1辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、△AOB≡△COD(ASA)
- 対応する辺が等しいので、AO=CO、BO=DO(対角線はそれぞれの中点で交わる)
平行四辺形になる条件(逆を確かめる)
「平行四辺形なら成り立つ」ことの逆、つまり「この条件が成り立てば平行四辺形になる」も成り立ちます。次の 4つのどれか 1つが言えれば、その四角形は平行四辺形です。
- 2組の対辺がそれぞれ等しい: 対角線 BD を引くと、AB=CD、AD=CB、BD=DB(共通)で △ABD≡△CDB(SSS)。∠ABD=∠CDB となり、これは錯角なので AB∥DC。同様に AD∥BC。
- 2組の対角がそれぞれ等しい: ∠A=∠C、∠B=∠D で、四角形の内角の和は 360∘ だから 2(∠A+∠B)=360∘、つまり ∠A+∠B=180∘。これは AD,BC を AB が横切ったときの同側の内角の和が 180∘ になる形で、AD∥BC を意味します。同様に AB∥DC。
- 対角線が互いを二等分する: AO=CO、BO=DO なら、△AOB≡△COD(SAS: AO=CO、対頂角 ∠AOB=∠COD、BO=DO)。∠OAB=∠OCD は錯角なので AB∥DC。同様に △AOD≡△COB から AD∥BC。
- 1組の対辺が平行かつ等しい: AB∥DC かつ AB=DC なら、錯角 ∠ABD=∠CDB と合わせて △ABD≡△CDB(SAS)。対応する辺 AD=CB と、対応する角 ∠ADB=∠CBD(錯角)から AD∥BC。よって両方の対辺が平行になり平行四辺形。
誤りやすい点 — 1組の対辺が等しいだけでは足りない
「1組の対辺が等しい」だけで、平行の指定がない場合は、平行四辺形になるとは限りません。
脚(1組の対辺): AD=3, BC=3(等しい) もう1組の対辺: AB=6, DC=3(等しくない) 対角線の中点は一致しません → 平行四辺形ではありません。
上底 DC の長さを変えても、脚 AD=BC(1組の対辺)は等しいままです。しかし AB∥DC の1組しか平行でないので、AB=DC のかぎり平行四辺形にはなりません。「1組の対辺が等しいだけ」では平行四辺形とは言えない反例です。
上底の長さを変えても、脚 AD=BC(1組の対辺)はつねに等しいままです。しかし、もう 1組の対辺 AB,DC は平行なのに長さが違うので、対角線の中点は一致せず、平行四辺形にはなりません(これは等脚台形と呼ばれる図形です)。
平行四辺形になる条件は、あくまで「等しい」と「平行」がセットになった形(1組の対辺が平行かつ等しい)か、2組ともの条件でなければいけません。
特別な四角形のまとめ
- 長方形: 平行四辺形で、対角線の長さが等しい(同値な言い方: すべての角が 90∘)。
- ひし形: 平行四辺形で、対角線が直交する(同値な言い方: すべての辺の長さが等しい)。
- 正方形: 長方形でもひし形でもある(対角線が等しく、かつ直交する)。
包含関係は「正方形 ⊂ 長方形」「正方形 ⊂ ひし形」「長方形 ⊂ 平行四辺形」「ひし形 ⊂ 平行四辺形」です。長方形とひし形は、どちらも平行四辺形の特別な場合であり、互いには含まれません。
理解チェック
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
平行四辺形 ABCD で対角線 BD を引き、△ABD≡△CDB を示すのに使った合同条件はどれですか?
確認 2 / 3
四角形 ABCD で AB=CD、AD=BC(2組の対辺がそれぞれ等しい)が分かっているとき、これは平行四辺形と言えますか?
確認 3 / 3
四角形 ABCD で、辺 AD と辺 BC の長さだけが等しいと分かっているとき(平行かどうかは不明)、必ず平行四辺形と言えますか?
📖この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
第12章 平行四辺形と四角形 — 性質を証明する のまとめページへ
→ 執筆・監修: 中野竜之介(北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり)
最終更新: 2026-07-05
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