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中学数学の学び直し / 第12章 · 2つ目のレッスン

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11 組の対辺が等しい四角形は、必ず平行四辺形になるのか

平行四辺形を証明する — 対角線で三角形に分けて確かめる

前のレッスンで見つけた性質(対辺・対角・対角線)を、対角線で 22つの三角形に分けて、合同から証明します。使うのは「22直線が平行なら錯角が等しい」(第5章)と、この章までの合同条件です。

対辺・対角が等しいことの証明

平行四辺形 ABCDABCD(AB∥DCAB \parallel DC、AD∥BCAD \parallel BC)に対角線 BDBD を引きます。

△ABD\triangle ABD と △CDB\triangle CDB において

  1. ∠ABD=∠CDB\angle ABD=\angle CDB …錯角(AB∥DCAB \parallel DC、BDBDが横切る)
  2. ∠ADB=∠CBD\angle ADB=\angle CBD …錯角(AD∥BCAD \parallel BC、BDBDが横切る)
  3. BD=DBBD=DB …共通な辺
  4. 11辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、△ABD≡△CDB\triangle ABD \equiv \triangle CDB(ASA)
  5. 対応する辺が等しいので、AB=CDAB=CD、AD=CBAD=CB(「対辺がそれぞれ等しい」)
  6. 対応する角が等しいので、∠A=∠C\angle A=\angle C

∠B\angle B と ∠D\angle D についても、∠B=∠ABD+∠DBC\angle B=\angle ABD+\angle DBC、∠D=∠CDB+∠BDA\angle D=\angle CDB+\angle BDA で、∠ABD=∠CDB\angle ABD=\angle CDB、∠DBC=∠BDA\angle DBC=\angle BDA(ともにステップ1・2で示した錯角)なので、∠B=∠D\angle B=\angle D。これで「対角がそれぞれ等しい」ことも示せました。

対角線がそれぞれの中点で交わることの証明

対角線 AC,BDAC,BD の交点を OO とします。△AOB\triangle AOB と △COD\triangle COD において

  1. ∠OAB=∠OCD\angle OAB=\angle OCD …錯角(AB∥DCAB \parallel DC、ACACが横切る)
  2. AB=CDAB=CD …前の証明の結論
  3. ∠OBA=∠ODC\angle OBA=\angle ODC …錯角(AB∥DCAB \parallel DC、BDBDが横切る。前の証明の ∠ABD=∠CDB\angle ABD=\angle CDB と同じ)
  4. 11辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、△AOB≡△COD\triangle AOB \equiv \triangle COD(ASA)
  5. 対応する辺が等しいので、AO=COAO=CO、BO=DOBO=DO(「対角線はそれぞれの中点で交わる」)

平行四辺形になる条件(逆を確かめる)

「平行四辺形なら成り立つ」ことの逆、つまり「この条件が成り立てば平行四辺形になる」も成り立ちます。次の 44つのどれか 11つが言えれば、その四角形は平行四辺形です。

  • 2組の対辺がそれぞれ等しい: 対角線 BDBD を引くと、AB=CDAB=CD、AD=CBAD=CB、BD=DBBD=DB(共通)で △ABD≡△CDB\triangle ABD \equiv \triangle CDB(SSS)。∠ABD=∠CDB\angle ABD=\angle CDB となり、これは錯角なので AB∥DCAB \parallel DC。同様に AD∥BCAD \parallel BC。
  • 2組の対角がそれぞれ等しい: ∠A=∠C\angle A=\angle C、∠B=∠D\angle B=\angle D で、四角形の内角の和は 360∘360^\circ だから 2(∠A+∠B)=360∘2(\angle A+\angle B)=360^\circ、つまり ∠A+∠B=180∘\angle A+\angle B=180^\circ。これは AD,BCAD,BC を ABAB が横切ったときの同側の内角の和が 180∘180^\circ になる形で、AD∥BCAD \parallel BC を意味します。同様に AB∥DCAB \parallel DC。
  • 対角線が互いを二等分する: AO=COAO=CO、BO=DOBO=DO なら、△AOB≡△COD\triangle AOB \equiv \triangle COD(SAS: AO=COAO=CO、対頂角 ∠AOB=∠COD\angle AOB=\angle COD、BO=DOBO=DO)。∠OAB=∠OCD\angle OAB=\angle OCD は錯角なので AB∥DCAB \parallel DC。同様に △AOD≡△COB\triangle AOD \equiv \triangle COB から AD∥BCAD \parallel BC。
  • 1組の対辺が平行かつ等しい: AB∥DCAB \parallel DC かつ AB=DCAB=DC なら、錯角 ∠ABD=∠CDB\angle ABD=\angle CDB と合わせて △ABD≡△CDB\triangle ABD \equiv \triangle CDB(SAS)。対応する辺 AD=CBAD=CB と、対応する角 ∠ADB=∠CBD\angle ADB=\angle CBD(錯角)から AD∥BCAD \parallel BC。よって両方の対辺が平行になり平行四辺形。

誤りやすい点 — 1組の対辺が等しいだけでは足りない

「11組の対辺が等しい」だけで、平行の指定がない場合は、平行四辺形になるとは限りません。

脚(1組の対辺): AD=3AD=3, BC=3BC=3(等しい)
もう1組の対辺: AB=6AB=6, DC=3DC=3(等しくない)
対角線の中点は一致しません → 平行四辺形ではありません。

上底の長さは3です。脚ADは3、脚BCは3で等しくなっています。もう1組の対辺ABは6、DCは3で異なり、平行四辺形の条件は満たされていません。

上底 DCDC の長さを変えても、脚 AD=BCAD=BC(1組の対辺)は等しいままです。しかし AB∥DCAB \parallel DC の1組しか平行でないので、AB≠DCAB \ne DC のかぎり平行四辺形にはなりません。「1組の対辺が等しいだけ」では平行四辺形とは言えない反例です。

上底の長さを変えても、脚 AD=BCAD=BC(1組の対辺)はつねに等しいままです。しかし、もう 11組の対辺 AB,DCAB,DC は平行なのに長さが違うので、対角線の中点は一致せず、平行四辺形にはなりません(これは等脚台形と呼ばれる図形です)。平行四辺形になる条件は、あくまで「等しい」と「平行」がセットになった形(11組の対辺が平行かつ等しい)か、22組ともの条件でなければいけません。

特別な四角形のまとめ

  • 長方形: 平行四辺形で、対角線の長さが等しい(同値な言い方: すべての角が 90∘90^\circ)。
  • ひし形: 平行四辺形で、対角線が直交する(同値な言い方: すべての辺の長さが等しい)。
  • 正方形: 長方形でもひし形でもある(対角線が等しく、かつ直交する)。

包含関係は「正方形 ⊂\subset 長方形」「正方形 ⊂\subset ひし形」「長方形 ⊂\subset 平行四辺形」「ひし形 ⊂\subset 平行四辺形」です。長方形とひし形は、どちらも平行四辺形の特別な場合であり、互いには含まれません。

理解チェック

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

平行四辺形 ABCDABCD で対角線 BDBD を引き、△ABD≡△CDB\triangle ABD \equiv \triangle CDB を示すのに使った合同条件はどれですか?

確認 2 / 3

四角形 ABCDABCD で AB=CDAB=CD、AD=BCAD=BC(2組の対辺がそれぞれ等しい)が分かっているとき、これは平行四辺形と言えますか?

確認 3 / 3

四角形 ABCDABCD で、辺 ADAD と辺 BCBC の長さだけが等しいと分かっているとき(平行かどうかは不明)、必ず平行四辺形と言えますか?

この章の定義・定理・公式をまとめて確認する

第12章 平行四辺形と四角形 — 性質を証明する のまとめページへ

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執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介

中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

数学レビュー協力: 北町晃洋・野田一成・木村敏樹

最終更新: 2026-07-05

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