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平行四辺形を証明する — 対角線で三角形に分けて確かめる

前のレッスンで見つけた性質(対辺・対角・対角線)を、対角線で 22つの三角形に分けて、合同から証明します。 使うのは「22直線が平行なら錯角が等しい」(第5章)と、この章までの合同条件です。

対辺・対角が等しいことの証明

平行四辺形 ABCDABCD(ABDCAB \parallel DCADBCAD \parallel BC)に対角線 BDBD を引きます。

ABD\triangle ABDCDB\triangle CDB において

  1. ABD=CDB\angle ABD=\angle CDB …錯角(ABDCAB \parallel DCBDBDが横切る)
  2. ADB=CBD\angle ADB=\angle CBD …錯角(ADBCAD \parallel BCBDBDが横切る)
  3. BD=DBBD=DB …共通な辺
  4. 11辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、ABDCDB\triangle ABD \equiv \triangle CDB(ASA)
  5. 対応する辺が等しいので、AB=CDAB=CDAD=CBAD=CB(対辺がそれぞれ等しい)
  6. 対応する角が等しいので、A=C\angle A=\angle C

B\angle BD\angle D についても、B=ABD+DBC\angle B=\angle ABD+\angle DBCD=CDB+BDA\angle D=\angle CDB+\angle BDA で、ABD=CDB\angle ABD=\angle CDBDBC=BDA\angle DBC=\angle BDA(ともにステップ1・2で示した錯角)なので、B=D\angle B=\angle D。 これで対角がそれぞれ等しいことも示せました。

対角線がそれぞれの中点で交わることの証明

対角線 AC,BDAC,BD の交点を OO とします。AOB\triangle AOBCOD\triangle COD において

  1. OAB=OCD\angle OAB=\angle OCD …錯角(ABDCAB \parallel DCACACが横切る)
  2. AB=CDAB=CD …前の証明の結論
  3. OBA=ODC\angle OBA=\angle ODC …錯角(ABDCAB \parallel DCBDBDが横切る。前の証明の ABD=CDB\angle ABD=\angle CDB と同じ)
  4. 11辺とその両端の角がそれぞれ等しいので、AOBCOD\triangle AOB \equiv \triangle COD(ASA)
  5. 対応する辺が等しいので、AO=COAO=COBO=DOBO=DO(対角線はそれぞれの中点で交わる)

平行四辺形になる条件(逆を確かめる)

「平行四辺形なら成り立つ」ことの逆、つまり「この条件が成り立てば平行四辺形になる」も成り立ちます。次の 44つのどれか 11つが言えれば、その四角形は平行四辺形です。

誤りやすい点 — 1組の対辺が等しいだけでは足りない

11組の対辺が等しい」だけで、平行の指定がない場合は、平行四辺形になるとは限りません。

脚(1組の対辺): AD=3AD=3, BC=3BC=3(等しい)
もう1組の対辺: AB=6AB=6, DC=3DC=3(等しくない)
対角線の中点は一致しません → 平行四辺形ではありません。
上底 DCDC の長さを変えても、脚 AD=BCAD=BC(1組の対辺)は等しいままです。しかし ABDCAB \parallel DC の1組しか平行でないので、ABDCAB \ne DC のかぎり平行四辺形にはなりません。「1組の対辺が等しいだけ」では平行四辺形とは言えない反例です。

上底の長さを変えても、脚 AD=BCAD=BC(1組の対辺)はつねに等しいままです。しかし、もう 11組の対辺 AB,DCAB,DC は平行なのに長さが違うので、対角線の中点は一致せず、平行四辺形にはなりません(これは等脚台形と呼ばれる図形です)。 平行四辺形になる条件は、あくまで「等しい」と「平行」がセットになった形(11組の対辺が平行かつ等しい)か、22組ともの条件でなければいけません。

特別な四角形のまとめ

包含関係は「正方形 \subset 長方形」「正方形 \subset ひし形」「長方形 \subset 平行四辺形」「ひし形 \subset 平行四辺形」です。長方形とひし形は、どちらも平行四辺形の特別な場合であり、互いには含まれません。

理解チェック

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

平行四辺形 ABCDABCD で対角線 BDBD を引き、ABDCDB\triangle ABD \equiv \triangle CDB を示すのに使った合同条件はどれですか?

確認 2 / 3

四角形 ABCDABCDAB=CDAB=CDAD=BCAD=BC(2組の対辺がそれぞれ等しい)が分かっているとき、これは平行四辺形と言えますか?

確認 3 / 3

四角形 ABCDABCD で、辺 ADAD と辺 BCBC の長さだけが等しいと分かっているとき(平行かどうかは不明)、必ず平行四辺形と言えますか?

📖

この章の定義・定理・公式をまとめて確認する

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執筆・監修: 中野竜之介北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

最終更新: 2026-07-05

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