楕円・放物・双曲を見分ける — 判別式1つで分類する
前レッスンで見た3つの型は、実は2階線形PDEの標準形を1つ書けば統一的に分類できます:
この係数 から作る判別式 の符号だけで、型が決まります (2次曲線 定数 の分類——楕円・放物線・双曲線——とまったく同じ判別式です)。
触ってみる — スライダーで係数を動かして分類する
を動かして、判別式の符号がどう変わるか、型のラベルがどう切り替わるか確かめてください。
→ 楕円型
楕円型の例: ラプラス方程式 ()
放物型の例: 熱方程式 (時間をと見て)
双曲型の例: 波動方程式 (、方向の係数は相当)
種明かし — 3つの代表方程式との対応
- ラプラス方程式 : で → 楕円型
- 熱方程式 : 時間を2つ目の変数と見ると1階微分しか含まないため上の標準形には 収まりませんが、極限として「退化した放物線」の型に対応し、慣習的に放物型と呼びます
- 波動方程式 : (tについて)、(xについて、符号に注意)で → 双曲型
この分類は**係数が一定(または各点で評価した局所的な値)**の場合の話です。係数が変数 ( など)だと、領域内で型が変わる(遷音速流れの方程式などが典型例)こともあります。
試してみよう
- (ラプラス)にしてから、 を少しずつ増やして判別式が0を超える瞬間を探してください
- にすると判別式はちょうど0(放物型)—— が境目です
理解チェック
判別式 という式、どこかで見覚えは?
2次方程式の解の公式に出てくる判別式と同じ形です。実は2次曲線 の分類 (楕円・放物線・双曲線)にもまったく同じ判別式が使われます。PDEの分類は、この代数の話を 微分作用素に置き換えただけなのです。
確認問題
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 2
のとき、判別式 の値はいくつですか?
確認 2 / 2
判別式が正のとき、方程式はどの型に分類されますか?
この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
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執筆・監修: 中野竜之介(北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり)
最終更新: 2026-07-05
主な参考文献: Strauss『Partial Differential Equations: An Introduction』(Wiley) / Haberman『Applied Partial Differential Equations』(Pearson) / 俣野博・神保道夫『熱・波動と微分方程式』(岩波)