偏微分方程式 / 第1章 · 2つ目のレッスン
無料レッスン楕円・放物・双曲を見分ける — 判別式1つで分類する
前レッスンで見た3つの型は、実は2階線形PDEの標準形を1つ書けば統一的に分類できます:
この係数 から作る判別式 の符号だけで、型が決まります(一般二次曲線 の分類(楕円・放物線・双曲線、退化例を除く)と同じ判別式です。線形項のない純二次形式 だけだと、 は放物線ではなく平行2直線などへ退化するので注意してください)。
触ってみる — スライダーで係数を動かして分類する
を動かして、判別式の符号がどう変わるか、型のラベルがどう切り替わるか確かめてください。
→ 楕円型
楕円型の例: ラプラス方程式 ()
放物型の例: 熱方程式 (時間をと見て)
双曲型の例: 波動方程式 (、方向の係数は相当)
種明かし — 3つの代表方程式との対応
- ラプラス方程式 : で → 楕円型
- 熱方程式 (): 1階の を低階項(最高階=2階に満たない項)とみなせば、2階の項だけを集めた主部の係数が の2階PDEです。判別式 がちょうど成り立つので、厳密に放物型に分類されます(慣習や極限ではありません)。 だと2階の項自体が消え、この分類の前提が成り立ちません
- 波動方程式 : (tについて)、(xについて、符号に注意)で → 双曲型
この分類は係数が一定(または各点で評価した局所的な値)の場合の話です。係数が変数( など)だと、領域内で型が変わる(遷音速流れの方程式などが典型例)こともあります。
試してみよう
- (ラプラス)にしてから、 を少しずつ増やして判別式が0を超える瞬間を探してください
- にすると判別式はちょうど0(放物型)、 が境目です
理解チェック
判別式 という式、どこかで見覚えは?
2次方程式の解の公式に出てくる判別式と同じ形です。一般二次曲線 の分類(楕円・放物線・双曲線、退化例を除く)にも同じ判別式が使われます(線形項のない だけだと は放物線でなく、係数の符号に応じて平行2直線または空集合に退化するので注意)。PDEの分類は、この代数の話を微分作用素に置き換えただけなのです。
確認問題
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 2
のとき、判別式 の値はいくつですか?
確認 2 / 2
判別式が正のとき、方程式はどの型に分類されますか?
操作チャレンジ — 図で解く1問
係数 を動かして、判別式 ()をちょうど (放物型の境界)にしてください。
で 判別式
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執筆: 石井馨 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 北町晃洋
最終更新: 2026-07-05
主な参考文献: Strauss『Partial Differential Equations: An Introduction』(Wiley) / Haberman『Applied Partial Differential Equations』(Pearson) / 俣野博・神保道夫『熱・波動と微分方程式』(岩波)