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勾配 grad と最急方向

スカラー場の"地形"を最も急に登る方向を教えてくれる道具が勾配(gradient)です。

f=(fx, fy)\nabla f = \left(\frac{\partial f}{\partial x},\ \frac{\partial f}{\partial y}\right)

各偏微分を並べただけのベクトルですが、驚くべき性質を2つ持っています—— 大きさが最急上昇の傾き向きが等高線と直角。この章では後者を確かめます。

触ってみる — 勾配は等高線と直角に交わる

橙の点をドラッグすると、通っている等高線(青)とその点での勾配ベクトル(赤)が同時に描かれます。 赤と青がいつも直角になっていることを確かめてください。

赤=f=(3.20,1.00)\nabla f=(3.20, 1.00)、青=等高線。正規化内積 0.0000\approx -0.0000(0に近いほど直交)

下のキャプションの「正規化内積」は、赤(勾配)と青(等高線の接線)の向きだけを比べた値です。 0に近ければ直角——等高線は勾配とは別の式(媒介変数表示)で描いているので、この一致は偶然ではありません。

種明かし — なぜ直角になるのか

等高線の上を動くとき、ff の値は変化しません(f=cf=c で一定だから)。合成関数の微分より

ddtf(x(t),y(t))=f(x(t),y(t))=0\frac{d}{dt}f(x(t),y(t)) = \nabla f \cdot (x'(t), y'(t)) = 0

等高線の接線ベクトル (x(t),y(t))(x'(t),y'(t)) との内積がつねに 0——つまり勾配は等高線と直交する。 「値が変わらない方向」と「値が最も変わる方向」が直角に分かれているのは、 1変数の関数に「変化なし(極値)」と「最大の傾き」という区別が無いこととは対照的な、 多変数ならではの構造です。

どこで効くのか

試してみよう

理解チェック

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

f(x,y)=x2+3y2f(x,y)=x^2+3y^2 の点 (2,1)(2,1) での勾配 f=(2x,6y)\nabla f=(2x, 6y)xx 成分はいくつですか?

確認 2 / 3

勾配ベクトル f\nabla f の向きは、その点を通る等高線に対してどうなっていますか?

確認 3 / 3

勾配ベクトル f\nabla f が指す向きは何を意味しますか?

📖

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執筆・監修: 中野竜之介北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

最終更新: 2026-07-05

主な参考文献: Schey『Div, Grad, Curl, and All That』(Norton) / Marsden & Tromba『Vector Calculus』(W.H. Freeman) / 志賀浩二『ベクトル解析30講』(朝倉書店)

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