接線と変化率を触る
車の「平均時速」は距離÷時間で出ます。ではその瞬間の速度計の針は 何を指しているのでしょうか。「瞬間の変化率」を捕まえる道具が微分です。 数IIの範囲(多項式だけ)でも、微分の心臓部はぜんぶ体験できます。
触ってみる — 割線が接線になる瞬間
青い点をドラッグして、赤い点にじわじわ近づけてください。
点aは(-2.00, 2.40)、点bは(1.50, 1.44)。割線の傾きは-0.275、点aでの接線の傾きは0.600です。
2点を通る直線(割線)の傾きは平均変化率:
青い点を赤い点に近づけると、割線は1本の直線(接線)に落ち着きます。 この行き先の傾きが微分係数 。「平均をどんどん短い区間で取った極限」です。
計算はあっけない
多項式の微分は1行のルールで済みます:
なら 。 計算は簡単です。出てきた は 「各地点での接線の傾き一覧表」だと読みます。
触ってみる — 傾きがグラフの形を決める
なら増加、 なら減少。傾きの符号が切り替わる場所が 山(極大)と谷(極小)です。スライダーで係数を動かして、山と谷が 生まれたり消えたりする様子を見てください。
増減表とは、この「符号の切り替わり」を表に書いただけのものです。
理解チェック
の での接線の傾きは?
答えを見る
なので 。 上の図で確かめるなら「x=3付近で、xが1増えるとyが約6増える」ということです。 微分係数は局所の傾きの読み取りです。
もう1問: ある区間で接線の傾きがずっと負なら、グラフはその区間でどうなっているでしょうか?
答えを見る
減少しています(右下がり)。接線の傾き = その場所での変化率なので、負なら進むほど下がる。「傾きの符号で増減が読める」というこの考え方が、微分の応用(第14章)の入口です。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
f(x) = の での接線の傾き(微分係数)はいくつですか?
確認 2 / 3
f(x) = の導関数 はどれですか?
確認 3 / 3
ある区間で のとき、その区間で はどうなっていますか?
この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
第9章 微分積分の入口 — 変化と面積 のまとめページへ
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05