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成分と内積 — 線形代数の入口

ベクトル同士の「掛け算らしきもの」が内積です。 答えがベクトルでなくただの数になるのが最初の驚きポイント。まずは振り返りから。

ウォームアップ — 第7章の振り返り

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問1・現在

シャツ3種類とズボンを組み合わせます。コーディネートを12通りにするズボンの種類数を探してください。

シャツ3種 ×\times ズボン2種 =6= 6 通り(目標 12通り)

内積の2つの顔

ab=abcosθ=a1b1+a2b2\vec{a} \cdot \vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta = a_1 b_1 + a_2 b_2
  • 図形の顔: 長さ×長さ×「向きの揃い具合(cosθ\cos\theta)」
  • 計算の顔: 成分を掛けて足すだけ

同じ量に2つの読み方があるので、「角度の問題」を「成分の計算」で解けるのです。

触ってみる — 内積は「影」

青い矢印を動かして、影(射影)がどう変わるか見てください。

ベクトル a の成分
ベクトル b の成分

ベクトル a は (1.5, 2.0)、ベクトル b は (3.0, 0.5)、内積は 5.50、なす角は 44 度です。a の b 方向への正射影は (1.78, 0.30)、影の長さは 1.81 です。

ab=5.50a \cdot b = 5.50 θ=44\theta = 44° 影の長さ = 1.811.81

この図は、実は線形代数コース第1章とまったく同じ図です。 高校のベクトルと大学の線形代数は別物ではなく、地続きの一本道です。 ここまで来たあなたは、もう線形代数の入口に立っています。

垂直条件 — いちばん使う定理

ab    ab=0\vec{a} \perp \vec{b} \iff \vec{a} \cdot \vec{b} = 0

cos90°=0\cos 90° = 0 だから、垂直なら内積は0。a,b\vec{a}, \vec{b} が零ベクトルでなければ、逆も成り立ちます。 「垂直を式で判定できる」ことの威力は、 線形代数コースの直交・射影・最小二乗法(機械学習の土台)で全開になります。

位置ベクトルと内分点

点の位置も原点からの矢印で表せます。点 PP が線分 ABABm:nm:n内分するとは、AP:PB=m:nAP:PB = m:n となるように ABAB 上に PP を取ることです。その内分点は

p=na+mbm+n\vec{p} = \frac{n\vec{a} + m\vec{b}}{m+n}

「重みつきの混ぜ合わせ」と読めば、これは線形結合(線形代数コース第2章)の先取りです。

操作チャレンジ — 図で解く5問

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問1・現在問2問3問4問5

赤と青の矢印をドラッグして、2本の和(黄色)を星印 (2,2)(-2, 2) に重ねてください。どちらの矢印も短すぎないように。

a+b=(0.00,1.50)a + b = (0.00, 1.50)(目標 (−2, 2))

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

a = (2, 1)、b = (3, −2) のとき、内積 ab\vec{a}\cdot\vec{b} はいくつですか?

確認 2 / 3

内積 ab=0\vec{a}\cdot\vec{b} = 0 のとき、a\vec{a}b\vec{b} の関係は?(a,b\vec{a}, \vec{b} は零ベクトルでないとする)

確認 3 / 3

a=(a1,a2)\vec{a} = (a_1, a_2)b=(b1,b2)\vec{b} = (b_1, b_2) の内積を成分で計算する式は?

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執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介

中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹

最終更新: 2026-07-05

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