数え上げの原則
確率の計算は、突き詰めると「数える」ことです。 そして数え上げには、たった2つの原則しかありません。
- 和の法則: 「AまたはB」(同時に起きない)→ 足す
- 積の法則: 「Aのそれぞれに対してB」→ 掛ける
シャツ3種類とズボン4種類なら、コーディネートは 通り。 「それぞれに対して」と読めたら掛け算です。これだけで大半の場合の数は数えられます。
同じ積の法則を、枝が増えていく樹形図として見ると、最後に残る葉の数がそのまま総数になります。 枝の本数を動かして、 が「各枝から同じだけ分かれる」ことを確かめます。
並べるか、選ぶか
- 順列 : 個から 個を並べる(順序あり)
- 組合せ : 個から 個を選ぶ(順序なし)
組合せは「並べてから、並び順のダブり で割る」という考え方です。 公式の分母は「気にしない違いを割って消す」操作です。
触ってみる — パスカルの三角形
組合せの数 を三角形に並べると、美しい規則が現れます。 マスをタップしてみてください。
どのマスもすぐ上の2つの和になっています:
理由は「 個目を選ぶ場合(左上)と選ばない場合(右上)に分かれる」から。 これは碁盤の目の道順の数え上げと同じ構造です。
理解チェック
5人から委員2人を選ぶ方法は何通り?(委員長・副委員長と区別する場合は?)
答えを見る
区別しない「選ぶ」なら 通り。 役職で区別して「並べる」なら 通り。 同じ状況でも「順序を気にするか」で数が変わります。ここが分かれ目です。
もう1問: 10人から3人の委員を選ぶ(役職の区別なし)。順列 P と組合せ C のどちらで、値はいくつでしょうか?
答えを見る
組合せ C(10,3) = 120 です。役職の区別がない = 並び順を数えない、なので P(10,3)=720 を 3! = 6 で割ります。「区別があるか?」が P と C の分かれ目です。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
シャツ3種類とズボン4種類の組合せは全部で何通りですか?
確認 2 / 3
5人から委員2人を選ぶ(順序は区別しない)方法は何通りですか?
確認 3 / 3
10人から3人の委員を選ぶ(役職の区別なし)方法は何通りですか?
この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
第7章 場合の数と確率 — 数え上げの技術 のまとめページへ
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05