テデトク

← コースに戻る

漸化式 — クモの巣図で収束を見る

第6章の最初のレッスンで、漸化式は「1手先の規則」だと触れました。 このレッスンでは、その規則を何十手も繰り返すと数列がどこへ行くのかを 1枚の図(クモの巣図、cobweb plot)で見ます。

ウォームアップ — 第6章の振り返り

1 / 1
問1・現在

初項3の等差数列があります。公差dを動かして、第5項をちょうど19にしてください。

3.04.05.06.07.0

第5項 =3+4d=7.0= 3 + 4d = 7.0(目標 19)

触ってみる — 規則の繰り返しが階段になる

漸化式 an+1=ran+1a_{n+1} = r \cdot a_n + 1 を図にします。読み方は2手の繰り返しです:

  1. 縦に動く: いまの値 ana_n から直線 y=rx+1y = rx + 1 へ → 高さが次の値 an+1a_{n+1}
  2. 横に動く: y=xy = x の線へ → その高さを「次の入力」に置き直す

rr を動かして、赤い階段の形がどう変わるか見てください。

a(n+1)=0.60a(n)+1a(n+1) = 0.60\cdot a(n) + 1 不動点 2.50 に収束赤の階段=反復列(a₁→a₂→…)、緑の破線=y=x、藍の直線=y=f(x)

種明かし — 行き先は2本の線の交点

r<1|r| < 1 のとき、階段はどこから始めても2本の直線の交点に吸い込まれます。 この交点(不動点)は「入れても値が変わらない場所」つまり

x=rx+1    x=11rx = rx + 1 \iff x = \frac{1}{1-r}
  • 0<r<10 < r < 1: 片側からするする近づく
  • 1<r<0-1 < r < 0: 行き過ぎては戻るを繰り返す渦巻き(振動収束)
  • r=1r = -1: 収束も発散もせず、不動点をはさんで2つの値を交互に繰り返す(初項がちょうど不動点でない限り)
  • r>1|r| > 1: 初項がちょうど不動点でない限り、階段が外へ広がって発散(初項が不動点そのものなら、そこにとどまり続ける)

規則は1行なのに、繰り返すと「収束・振動・発散」という運命が生まれます。 これが漸化式の面白さです。

大学への接続

この「近づいていく先」を第11章の極限で扱い、さらに厳密に言い切る言葉(ε-δ)は大学微積コースにあります。 また、勾配降下法(大学微積コース・最適化の章)は「損失が減る方向へ1手進む」を 繰り返す漸化式です。クモの巣の収束・発散の感覚がそのまま効きます。

操作チャレンジ — 図で解く3問

1 / 3
問1・現在問2問3

r を調整して、数列 a(n+1)=ra(n)+1a(n+1) = r\cdot a(n) + 1 の行き先(不動点)をちょうど 2 にしてください。

行き先(不動点)= 1.25(目標 2.00)

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

漸化式 an+1=ran+1a_{n+1} = r \cdot a_n + 1r=1/2r = 1/2 のとき、階段が吸い込まれる不動点 x=1/(1r)x = 1/(1-r) はいくつですか?

確認 2 / 3

この漸化式で 1<r<0-1 < r < 0 のとき、数列はどのように不動点へ向かいますか?

確認 3 / 3

r>1|r| > 1 のとき(初項は不動点でないとする)、クモの巣の階段はどうなりますか?

この章の定義・定理・公式をまとめて確認する

6数列とΣ — 足し上げの技術 のまとめページへ

執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介

中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹

最終更新: 2026-07-05

内容の誤り・誤植を見つけたら こちらから報告できます。いただいた指摘は 更新履歴 に反映します。