漸化式 — クモの巣図で収束を見る
第6章の最初のレッスンで、漸化式は「1手先の規則」だと触れました。 このレッスンでは、その規則を何十手も繰り返すと数列がどこへ行くのかを 1枚の図(クモの巣図、cobweb plot)で見ます。
ウォームアップ — 第6章の振り返り
初項3の等差数列があります。公差dを動かして、第5項をちょうど19にしてください。
第5項 (目標 19)
触ってみる — 規則の繰り返しが階段になる
漸化式 を図にします。読み方は2手の繰り返しです:
- 縦に動く: いまの値 から直線 へ → 高さが次の値
- 横に動く: の線へ → その高さを「次の入力」に置き直す
を動かして、赤い階段の形がどう変わるか見てください。
種明かし — 行き先は2本の線の交点
のとき、階段はどこから始めても2本の直線の交点に吸い込まれます。 この交点(不動点)は「入れても値が変わらない場所」つまり
- : 片側からするする近づく
- : 行き過ぎては戻るを繰り返す渦巻き(振動収束)
- : 収束も発散もせず、不動点をはさんで2つの値を交互に繰り返す(初項がちょうど不動点でない限り)
- : 初項がちょうど不動点でない限り、階段が外へ広がって発散(初項が不動点そのものなら、そこにとどまり続ける)
規則は1行なのに、繰り返すと「収束・振動・発散」という運命が生まれます。 これが漸化式の面白さです。
大学への接続
この「近づいていく先」を第11章の極限で扱い、さらに厳密に言い切る言葉(ε-δ)は大学微積コースにあります。 また、勾配降下法(大学微積コース・最適化の章)は「損失が減る方向へ1手進む」を 繰り返す漸化式です。クモの巣の収束・発散の感覚がそのまま効きます。
操作チャレンジ — 図で解く3問
r を調整して、数列 の行き先(不動点)をちょうど 2 にしてください。
行き先(不動点)= 1.25(目標 2.00)
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
漸化式 で のとき、階段が吸い込まれる不動点 はいくつですか?
確認 2 / 3
この漸化式で のとき、数列はどのように不動点へ向かいますか?
確認 3 / 3
のとき(初項は不動点でないとする)、クモの巣の階段はどうなりますか?
この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
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執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05