条件付き確率と期待値
前のレッスンの最後に「情報で確率が変わる」を100人の格子で見ました。 このレッスンでは、それを計算できる形にし、もうひとつの実戦道具である 期待値(くじは引くべきか?)を手に入れます。
ウォームアップ — 第7章の振り返り
シャツ3種類とズボンを組み合わせます。コーディネートを12通りにするズボンの種類数を探してください。
シャツ3種 ズボン2種 通り(目標 12通り)
「戻さない」と確率が動く
12個の玉(赤4・白8)から2個続けて引きます(戻さない)。2回とも赤の確率は:
2回目の分数は に変わっています。 1回目に赤を引いたという条件のもとで、残りは赤3個・全体11個。 この「条件つきで測り直した確率」が条件付き確率 で、 掛け算の正体は
独立な試行(サイコロ2回)では に戻ります。 前のレッスンの「独立は掛け算」は、実はこの式の特別な場合でした。
触ってみる — 期待値は「長い目で見た平均」
100本くじ: 1等500円が1本、2等100円が9本、はずれ90本。1回いくらの価値があるか?
本当に14円に落ち着くのか、実際に引いて確かめてください。
0回引いて 平均 0.00 円/回
種明かし — ばらつきは消え、平均は残る
数回では500円が出たり0円が続いたり大荒れですが、回数を増やすと 平均は期待値14円へ吸い寄せられます。「参加費が期待値より高いくじは、 引くほど主催者が儲かる」という原理は、保険やガチャ、宝くじの設計にも使われています。
大学への接続
「回数を増やすと平均が期待値へ向かう」現象の正式名称が大数の法則、 そのばらつき方まで教えてくれるのが中心極限定理です。統計コース第6章のCLTマシンで、 今日と同じ「押して確かめる」体験が待っています。条件付き確率の続き(ベイズの定理)は 統計コース第3章「検査のパラドックス」へ。
操作チャレンジ — 図で解く3問
100本くじ(2等100円×9本・はずれ90本)の参加費は150円。ちょうどトントン(期待値150円)になる1等賞金を見つけてください。
期待値 = 円(目標 150円)
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
100本くじ(1等500円1本・2等100円9本・はずれ90本)の期待値は1回あたり何円ですか?
確認 2 / 3
12個の玉(赤4・白8)から2個続けて引く(戻さない)とき、2回とも赤になる確率はいくつですか?(小数で)
確認 3 / 3
試行 と が独立のとき、条件付き確率 はどうなりますか?
この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
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執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05