f′(a)=h→0limhf(a+h)−f(a)
この定義式、実は前のレッスンでやった「極限」の応用問題そのものです。
何が 0 に向かい、何がその行き先なのかは、図をドラッグすると見えてきます。
触ってみる
曲線上に2つの点があります。2点を通る直線を割線といいます。
青い点をドラッグして、赤い点にじわじわ近づけてください。
点aは(-2.00, 2.40)、点bは(1.50, 1.44)。割線の傾きは-0.275、点aでの接線の傾きは0.600です。
割線の傾き =−0.275 接線の傾き =0.600
割線の傾きは b−af(b)−f(a)、つまり「2点間の平均変化率」です。
青い点を赤い点に近づける = h=b−a を 0 に近づけると、割線はある1本の直線、接線(赤い破線)に向かって収束します。
割線の傾きhf(a+h)−f(a)h→0接線の傾きf′(a)
微分係数 f′(a) とは、割線の傾きの極限です。定義式は、いまあなたが指でやった操作をそのまま数式にしたものです。
なぜ「線形近似」と呼ぶのか
もうひとつの見方があります。曲線を拡大してみましょう。左は y=x2、右は y=∣x∣ です。
y=x2 を点 (1,1) で拡大
y=∣x∣ を点 (0,0) で拡大
なめらかな曲線は拡大すると直線に見える。尖った ∣x∣ は何倍にしても尖ったまま = 微分不可能。
なめらかな曲線は、拡大すればするほど直線に見えてきます。その直線こそ接線です。
つまり「x=a の近くでは f(x)≈f(a)+f′(a)(x−a) という1次関数で代用できる」ということです。
これが微分可能という性質です。機械学習の勾配降下法も、この1次近似によって関数の変化する向きが分かることの上に成り立っています。
一方、右の y=∣x∣ は原点をどれだけ拡大しても尖ったまま。どの直線でも近似できないので、x=0 で微分不可能です。
試してみよう
- 1つ目の図で、赤い点自体を曲線の別の場所へ動かしてください。場所ごとに接線の傾きが変わります。これが「傾きを返す関数」= 導関数 f′(x) の感覚です
- 赤い点を曲線の谷のあたりに置くと、接線の傾きがほぼ 0 になります。極小点の予告編です
理解チェック
f(x)=x2 の x=3 での微分係数を、定義式 limh→0h(3+h)2−32 から計算してください。
答えを見る
h(3+h)2−9=h6h+h2=6+hh→06。
分子を展開して h で約分してから h→0 とします。「00 を約分で回避してから極限を取る」流れは、前レッスンの穴あき関数と同じです。
もう1問: f′(a) = 0 ならば x = a は必ず極値でしょうか?
答えを見る
いいえ。y=x3 の x=0 では傾き0ですが、山でも谷でもなく通過するだけです。傾き0は「候補」にすぎません。前後の増減まで見るのが第14章の増減表です。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
f(x)=x2 の x=3 での微分係数を、定義式 limh→0h(3+h)2−32 から求めるといくつですか?
確認 2 / 3
y=∣x∣ が x=0 で微分不可能なのはなぜですか?
確認 3 / 3
f′(a)=0 ならば x=a は必ず極値(極大か極小)になりますか?
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05
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