ウォームアップ — 第10章の振り返り
スライダーで青い曲線を、緑の点線 y=sin2x−1 にぴったり重ねてください。
前のレッスンで「極限 = 向かう先」の感覚を作りました。
今日はそれを計算に変えます。ほとんどの極限は代入で終わりますが、
本当に面白いのは代入が失敗する 00、不定形です。
計算法則 — 極限は四則演算と仲がいい
limx→af(x)=L、limx→ag(x)=M のとき:
lim(f±g)=L±M,lim(f⋅g)=LM,limgf=ML(M=0)
つまり連続な関数なら代入するだけです。limx→3(x2+1)=10、おしまい。
問題は M=0 かつ L=0 のときで、前のレッスンの図で見た「穴」がまさにそれです。
不定形 00 — 前のレッスンで触ったあの穴
前のレッスンで触った穴あき関数をもう一度。x=2 を代入すると 00 でした。
穴あき関数です。xは0.500、関数の値は2.500です。xは2の左側から近づいており、関数の値は4に近づいています。
x=0.500 のとき f(x)=2.500 — x=2 では定義されていないのに、値は 4 に向かう
00 は「答えがない」のではなく「この形のままでは決まらない」という意味です。
約分すれば正体が現れます:
x−2x2−4=x−2(x−2)(x+2)=x+2(x=2)
x=2 ではこの等式の左辺・中辺は定義されませんが、2 以外では f(x)=x+2 と一致するので、
2 に近づくときの極限は同じ値になります:
x→2limx−2x2−4=x→2lim(x+2)=4
不定形の処理は微積分の背骨です。なにしろ微分の定義そのものが 00 型の極限なのですから(次章)。
試してみよう(手を動かす計算)
- limx→1x−1x2−1: 約分で 2
- limx→0xx+1−1: 分子の有理化で 21
- limx→∞x2+32x2+x: 最高次で割って 2
3問とも「そのままでは決まらない形を、同値変形で決まる形に直す」だけです。
操作チャレンジ — 図で解く2問
グラフが x=2 で「向かっている高さ」に、橙の破線をぴったり合わせてください。そこに関数の値はありません(穴)。
追加演習 — もう2問
仕上げの2問です。前の問題より少しだけ手応えがあります。
グラフには x=3 に穴があります。赤い水平線を動かして「x→3 の行き先 L」を当ててください。
limx→3(x2−9)/(x−3)=3.00 と予想
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
limx→3(x2+1) の値はいくつですか?
確認 2 / 3
limx→1x−1x2−1 の値はいくつですか?
確認 3 / 3
limx→0xx+1−1 の値はいくつですか?
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05
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