極限と連続
。この記号の読み方を暗記した人は多いはず。 でも極限の本当の意味は「その点に着く前に、値がどこへ向かっているか」です。 着いた先ではなく、向かっている先。この違いを手で確かめましょう。
触ってみる
関数 のグラフです。赤い点を左右にドラッグして、 にじわじわ近づけてください。
穴あき関数です。xは0.500、関数の値は2.500です。xは2の左側から近づいており、関数の値は4に近づいています。
を代入すると になるので、 は存在しません(グラフの白抜きの穴)。 それでも を 2 に近づけると、 は 4 に向かって進みます。これが
の意味です。その点で定義されているかどうかと、極限があるかどうかは別の話です。これが極限のいちばん大事な感覚です。
左右で行き先が違うと?
次は途中で段差がある関数です。同じように赤い点をドラッグして、 に左から近づいた場合と右から近づいた場合を比べてください。
跳びのある関数です。xは-0.500、関数の値は0.000です。xは1の左側から近づいており、関数の値は1.5に近づいています。左右で近づく先が異なるため、極限は存在しません。
左からは 1.5 に、右からは 3 に向かいます。行き先が一致しないので、この点での極限は「存在しない」といいます。 そして、グラフがこの点で切れている(=ペンを離さないと描けない)状態が不連続です。裏返すと:
「向かう先」と「実際の値」が一致しています。連続とはそれだけのことです。
試してみよう
- 1つ目の図で、穴のぎりぎりまで近づいてみてください。 なら 。どこまで行っても 4 には「触れない」のに、行き先は 4 に確定している感覚を掴んでください
- 2つ目の図で、段差の上をまたいで往復してみてください。「左極限」と「右極限」という言葉が体感に変わります
理解チェック
について、 は存在するでしょうか?
答えを見る
存在します。 では なので、 で 。 自体は定義されていませんが、極限は 6 です。1つ目の図とまったく同じ構造です。
もう1問: のとき はどこへ向かうでしょうか?
答えを見る
2 に向かいます。(2x+1)/x = 2 + 1/x で、1/x → 0。「無限大/無限大」も、形を整理すれば行き先が見えます。
もっと厳密に(発展): 「いくらでも近づく」を数式で言い切るのが ε-δ 論法です。大学微積コースの第1章で扱います。まずはこのレッスンの「向かう先」の感覚があれば十分です。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
の値はいくつですか?
確認 2 / 3
のとき はどの値へ向かいますか?
確認 3 / 3
関数 が で「連続」であるための条件はどれですか?
この章の定義・定理・公式をまとめて確認する
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執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05