微分計算ができるようになった今、その使い道の第一弾です。
f′ と f′′ の符号だけで、グラフを描かずに関数の形が読めます。
むしろ順序は逆で、形を読む道具として増減表があるのです。
触ってみる — 極値が生まれ、消える
f(x)=3x3+ax+b の a を動かしてください。赤い点が極値です。
f(x)=x3/3+ax+b f′(x)=x2+a極値 x=±1.00(赤)
a<0 では山と谷が1つずつ。a を 0 に近づけると2つが接近し、
a=0 で合流して消滅、a>0 ではただの単調増加になります。
種明かし
f′(x)=x2+a です。極値の候補は f′=0 の解:
- a<0: 解が2つ(x=±−a)→ 増→減→増、山と谷
- a=0: 重解 x=0 → 傾きは0になるが符号が変わらない = 極値ではない(変曲点)
- a>0: 解なし → ずっと増加
つまり増減表とは「f′ の符号が変わる場所の一覧表」です。
さらに f′′ の符号は凹凸(グラフが上に膨らむか下に膨らむか)を教えます。
f′′=2x なので、この関数は x=0 を境に凹凸が切り替わります。これが変曲点です。
f′′ の符号を、元のグラフの反り方と並べて見ると次のようになります。
スライダーで x を動かし、同じ x で f′′(x) の符号と凹凸が対応することを確かめてください。
選んだ点
(−0.82,−0.56)2階微分
f′′(x)=0、f′′(−0.82)=0.00凹凸
f′′(x)=0 なので 変曲点 f(x)=4x4−x2 では f′′(x)=3x2−2。緑は f′′(x)>0 の下に凸、橙は f′′(x)<0 の上に凸、紫の点は f′′(x)=0 で凹凸が切り替わる変曲点です。
上の図で起きたことの正体
a を動かして極値が生滅する現象は、パラメータ付きの関数族の「形の相転移」です。
機械学習で損失関数のハイパーパラメータを動かすと局所解が現れたり消えたりするのも、
変数がもっと多いだけで、同じ「パラメータが変わると極値の個数・位置が変わる」現象です。
試してみよう
- b を動かしてください。グラフは上下するだけで、極値の位置(x座標)は変わりません。f′ に b が入っていないからです
- a=−1.5 にして、山と谷の間の距離を読み、21.5≈2.45 と比べてください
理解チェック
f(x)=x3−3x の極大値・極小値を求めてください。
答えを見る
f′=3x2−3=0 より x=±1。f′′=6x なので x=−1 で f′′<0(上に凸 = 極大)、
極大値 f(−1)=2、極小値 f(1)=−2。上の図の F(x)=x3/3+ax+b で a=−1,b=0 とした形(F(x)=x3/3−x)を3倍すると f になります。
もう1問: 増減表で y′ の符号が − から + に変わる点は、極大・極小のどちらでしょうか?
答えを見る
極小です。減ってから増える = 谷底。+から−なら極大(山)。「y′=0の点」ではなく「符号が変わる点」が本体です。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
f(x)=x3−3x の極大値はいくつですか?
確認 2 / 3
f(x)=x3−3x の極小値はいくつですか?
確認 3 / 3
増減表で y′ の符号が - から + に変わる点は、極大・極小のどちらですか?
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05
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