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指数関数 — 倍々の世界を体感する

「紙を42回折ると月に届く」と聞いて、信じられますか。 指数関数 y=axy = a^x は、人間の直感が最も外れる関数です。 だからこそ、式より先に体感から入ります。

触ってみる — 底が性格を決める

aa のスライダーを動かしてください。

y=2.00xy = 2.00^xa>1a>1 で爆発、a=1a=1 で直線、0<a<10<a<1 で減衰(緑は比較用の直線 y=2xy=2x)
  • a>1a > 1: 爆発。最初は直線(緑)に負けていても、必ず追い抜く
  • a=1a = 1: 増えも減りもしない直線(爆発と減衰の境目)
  • 0<a<10 < a < 1: 減衰。半分、そのまた半分…と0に近づく(0にはならない)

折り紙で月へ

厚さ0.1mmの紙を折るたび、厚さは2倍になります。スライダーでどうぞ。

厚さ = 0.1mm×2100.1\text{mm} \times 2^{10} = 102.40 mm

  • 1mm(ほぼ紙のまま)
  • 人の背丈
  • スカイツリー
  • 富士山
  • エベレスト
  • 宇宙との境界(カーマン・ライン)
  • 月までの距離
42回で月に届きます。前半20回はほぼ何も起きないのが指数の怖さです

前半20回はほぼ何も起きません。そして後半、1回折るごとに数千km単位で跳ねます。 「しばらく平気、そして突然手遅れ」。感染症の初期対応が難しい理由、 複利の借金が怖い理由は、この曲線の形そのものです。

見方を変える — 曲線を直線にする

縦軸だけを対数目盛りにすると、指数関数 y=axy = a^x は直線として読めます。 底 aa を変えると、その直線の傾きだけが変わります。

底を選ぶ
通常目盛りy=2xy=2^x
片対数目盛り縦軸 log10y\log_{10}y
片対数では log10y=xlog102\log_{10} y = x\log_{10} 2 なので直線になり、傾きは log1020.301\log_{10} 2 \approx 0.301 です。

種明かし — 指数法則は「回数の足し算」

am×an=am+na^m \times a^n = a^{m+n}

mm 回掛けてから nn 回掛ける = 合計 m+nm+n 回掛ける」。それだけです。 では a0a^0a1a^{-1} は?「0回掛ける」は意味不明に見えますが、 法則の方を守ると答えが決まります: a1×a1=a0a^1 \times a^{-1} = a^0 が成り立つには a0=1a^0 = 1a1=1/aa^{-1} = 1/a しかない。指数の拡張は暗記でなく、法則の帰結です。

試してみよう

  • aa をぴったり 11 に → 曲線が直線に変わる境目を目撃する
  • a=0.5a = 0.5 → 「半減」の curve。次章の半減期の主役
  • 折り紙を10回 → まだ10cm。20回 → 100m。同じ「10回」の重みが違う

理解チェック

2102^{10} はおよそいくつでしょうか(電卓なしで)?

答えを見る

10241024、およそ1000です。「2の10乗 ≈ 10の3乗」はエンジニアの常識 (かつて 1KB = 1024バイトと呼ばれた由来。厳密には 1024バイト = 1KiB で、SI では 1KB = 1000バイトです)。倍々10回で3桁増える、と覚えておくと桁の見積もりに使えます。

もう1問: 21010002^{10} \approx 1000 を使うと、2202^{20} はおよそいくつと見積もれるでしょうか?

答えを見る

約100万です。220=(210)210002=1,000,0002^{20} = (2^{10})^2 \approx 1000^2 = 1{,}000{,}000。指数法則 (am)n=amn(a^m)^n = a^{mn} を「桁の見積もり」に使うのは実務でも頻出です(正確には1,048,576)。

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

指数法則を使うと、23×242^3 \times 2^4 はいくつですか?

確認 2 / 3

2102^{10} はいくつですか?

確認 3 / 3

指数法則を守るように a1a^{-1} を決めると、a1a^{-1} はどれになりますか?

この章の定義・定理・公式をまとめて確認する

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執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介

中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹

最終更新: 2026-07-05

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