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積分 = 変化の蓄積

「積分は微分の逆」と習った人が多いはず。でもそれは積分の定義ではなく、あとで証明される定理です。 積分の出発点はもっと素朴で、「曲がった図形の面積を、短冊で測る」ことです。ここから始めましょう。

触ってみる

曲線 f(x)=x24+12f(x) = \frac{x^2}{4} + \frac{1}{2} の下の面積(0x40 \le x \le 4)を、nn 本の短冊で近似します。 分割数のスライダーを動かしてください。

短冊の高さ
短冊の合計 =6.0741= 6.0741 真の面積 =7.3333= 7.3333 誤差 =1.2593= 1.2593

短冊が粗いうちは誤差が目立ちますが、nn を増やすと合計値はある一定の値、223=7.333\frac{22}{3} = 7.333\ldots収束していきます。この極限値が定積分です:

04f(x)dx=limni=1nf(xi)Δx\int_0^4 f(x)\, dx = \lim_{n \to \infty} \sum_{i=1}^{n} f(x_i)\, \Delta x

\displaystyle \int\sum(和)の、dxdxΔx\Delta x(短冊の幅)のなれの果て。記号自体が「細かく刻んで足す」と言っています。 左端・中点・右端のどれで測っても同じ値に収束することも、ボタンを切り替えて確かめてください。

微分との衝撃の再会

ここまで積分に微分は一切登場していません。ところが、面積を「右端 xx を動かしたときの関数」S(x)=0xf(t)dt\displaystyle S(x) = \int_0^x f(t)\,dt と見ると、驚くことが起きます。 赤い点をドラッグしてください。

上: f(x)f(x) と 0 から x までの面積(赤い点をドラッグ)

下: 面積関数 S(x)S(x) とその接線

点xの値

xは2.50。上の図の高さf(x)は1.598、下の図の面積関数S(x)の接線の傾きS'(x)も1.598で、常に一致します。

f(2.50)=1.598f(2.50) = 1.598(上の高さ) S(2.50)=1.598S'(2.50) = 1.598(下の接線の傾き)— 常に一致する

上のグラフの高さ f(x)f(x) と、下の面積関数の接線の傾き S(x)S'(x) が、どこでも完全に一致します。つまり:

S(x)=f(x)S'(x) = f(x)

面積関数を微分すると、もとの関数に戻ります。これが微積分学の基本定理です。 直感的には「面積の増える速さ = その瞬間の高さ」。だから面積(積分)を求めるには、「微分すると ff になる関数」= 原始関数を探せばよいことになります。「積分は微分の逆」はここで初めて証明されるのです。

試してみよう

  • 分割数 n=1n = 1 にしてみてください。たった1本の長方形でも「近似」の出発点としては正しいことがわかります
  • 2つ目の図で、上のグラフの高さが低い場所(f(x)f(x) が小さい場所)では、下の S(x)S(x) の増え方が緩やかになることを確認してください

理解チェック

S(x)=0xt2dt\displaystyle S(x) = \int_0^x t^2\, dt のとき、S(2)S'(2) はいくつでしょうか?(積分を計算せずに答えられます)

答えを見る

基本定理より S(x)=x2S'(x) = x^2、よって S(2)=4S'(2) = 4。 「面積の増える速さ = その場所の高さ」なので、被積分関数に 2 を代入するだけです。

もう1問: 132xdx\displaystyle \int_1^3 2x\,dx はいくつでしょうか?

答えを見る

8 です。原始関数は x2x^2 なので [x2]13=91=8\bigl[x^2\bigr]_1^3 = 9 - 1 = 8。「微分すると 2x2x になる関数」を探して端の差を取ります。基本定理の型どおりです。

式で確かめる

動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。

確認 1 / 3

S(x) = 0xt2dt\displaystyle \int_0^x t^2\,dt のとき、S(2)S'(2) はいくつですか?(積分を計算せずに答えられます)

確認 2 / 3

132xdx\displaystyle \int_1^3 2x\,dx はいくつですか?

確認 3 / 3

面積関数 S(x)=0xf(t)dt\displaystyle S(x) = \int_0^x f(t)\,dt を微分すると何になりますか?(微積分学の基本定理)

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執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介

中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり

数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹

最終更新: 2026-07-05

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