前章の振り返りから。単位円の感覚は手に残っていますか。
ウォームアップ — 第2章の振り返り
単位円上の赤い点をドラッグして、cosθ=−0.5 になる鈍角の位置(上半分)を探してください。
cosθ=0.80(目標 −0.50、上半分で)
波は3つのつまみで操れる
現実の波(音の大きさ・高さ・タイミング)は、式では3つの定数で書けます:
y=Asin(ωx+φ)
y=1.00sin(1.00x+0.00) / 周期 = 2π/ω=6.28
- 振幅 A: 波の高さ(音なら音量)
- 角振動数 ω: 波の詰まり具合。周期は 2π/ω(音なら高さ)
- 位相 φ: 波のスタート位置(タイミングのずれ)
3つのスライダーを触ってから式を見返すと、
どの記号がどのつまみか、もう読めるはずです。
加法定理は「回転の足し算」
高校数学の暗記地獄で悪名高い加法定理:
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ
これは「α 回してから、さらに β 回す」という回転の合成を成分で書いただけです。
2倍角も半角も合成(asinθ+bcosθ)も、ぜんぶこの1本から機械的に出ます。
覚えるのは「回転を続けて行う」という絵、1枚だけでいい。
この「回転を成分で書く」操作は、線形代数コース第3章では回転行列という
名前で主役になります。行列の掛け算が加法定理そのものだと分かる瞬間は、
このコースの続きで一番気持ちいい場面のひとつです。
微積分への予告
sin を微分すると cos になる(ラジアンの功績)。さらにテイラー展開という道具を使うと、
sin が多項式の無限和で書けることまで分かります。波の解析(フーリエ)まで
一直線です。三角関数は大学数学の主要道路です。
操作チャレンジ — 図で解く5問
単位円の点をドラッグして、sinθ=−1 になる場所へ移動してください。
sinθ=0.00(目標 −1.00)
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
y=3sin(2x+1) の振幅 A はいくつですか?
確認 2 / 3
周期は 2π/ω で決まります。ω を2倍にすると周期はどうなりますか?
確認 3 / 3
加法定理 sin(α+β) の正しい展開はどれですか?
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05
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