サイン・コサインで数学が嫌いになった人は多いはずです。
でも正体は拍子抜けするほど単純で、直角三角形の辺の比につけた名前にすぎません。
そして角度を決めると、三角形の大きさによらず比が1つに決まります。それだけの話です。
触ってみる — 角度が比を決める
角度スライダーを動かしてください。三角形が変形し、3つの比が連動します。
sinθ=0.57 / cosθ=0.82 / tanθ=0.70
斜辺を1に固定してあるので、そのまま:
- 高さ = sinθ(青)
- 底辺 = cosθ(緑)
- 高さ ÷ 底辺 = tanθ(坂の勾配そのもの)
角度を決めれば形が決まる。形が決まれば比が決まる。だから
「sin30°=0.5」は暗記事項ではなく、30°の三角形の観察結果です。
三角比は「測れないものを測る」道具
古代から三角比が使われてきた理由は実用です。
木に登らなくても、距離と見上げ角だけで高さが出ます。
高さ = 10×tan(25∘)=4.66 m — 登らずに測れるのが三角比の力
高さ=距離×tanθ
地図の等高線、スロープの勾配標識(「8%」は tanθ=0.08)、
測量も、みなこの1行の考え方に基づいています。
試してみよう
- θ を大きくすると sin は増え、cos は減ります。高さと底辺の綱引きです
- θ=45° で sin=cos。正方形の対角線の三角形です
- tan は 85° 付近で爆発します。底辺がほぼ0になるからです
理解チェック
スロープの勾配が「tanθ=0.1」のとき、水平に20m進むと何m上がるでしょうか?
答えを見る
20×0.1=2m です。tan は「横に1進むと縦にいくつ上がるか」。
上の測量の図で、角度を約6°にすると tanθ≈0.1 になることも確かめられます。
もう1問: sin60∘ と cos30∘ はどちらが大きいでしょうか?
答えを見る
同じ値(3/2)です。60°の三角形を裏返すと30°の三角形になります。sinθ=cos(90∘−θ)(余角の関係)。図で三角形を回して確かめてください。
式で確かめる
動かして掴んだ感覚を、式と言葉で確かめます。間違えても、ヒントと解説で戻れます。
確認 1 / 3
勾配が tanθ=0.05 の坂を、水平に40m進みます。高さは何m上がりますか?
確認 2 / 3
θ を 0∘から大きくしていくと、sinθ と cosθ はどう変化しますか?
確認 3 / 3
sin60∘ と cos30∘ の大小関係は?
執筆: 榎本颯斗 / 監修: 中野竜之介
中野竜之介: 北海道大学大学院 数学専攻 博士課程・専門: 特殊関数論と代数幾何の交わり
数学レビュー協力: 野田一成・木村敏樹
最終更新: 2026-07-05
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